救急診療

「困っている患者さんの『助けて』を助ける」ため、 「救急要請された患者さんは断らずに全部診る」 ことを心がけています。

受け入れた患者さんは、適切な検査や安定化する処置をしながら適切な場所(手術室、入院病棟、専門医療機関)へ安全に移動させるのが救急の基本です。

搬送後は各科専門医と連携し、シームレスな医療を実践しています。

集中治療

ERからICUへ入院する重症患者のうち、ECMOやCHDFなどの体外循環装置を用いて救命する必要がある内因性重症疾患患者の治療を、専門科とともに診療、集中治療を実践しています。

病棟業務(救急部で主治医となる対象疾患)

救急部からの重症・集中治療が必要となる患者へは、主治医として積極的にチーム医療に参加します。

  • 心肺蘇生後
  • 敗血症性ショック・多臓器不全
  • 心原性ショック・重症肺血栓塞栓症
  • 難治性心室細動
  • 薬物中毒
  • 熱傷

研修医は救急科指導医のもと、重症患者への動脈圧ラインや中心静脈、肺動脈カテーテルの挿入、急性血液浄化、人工呼吸器管理などの集中治療をOn the jobで勉強します。

病院前医療

ERでは、救急隊からのホットラインの情報のかけら から病態を考え、重症化した場合に対応できるよう「ちゃんと待つ」体制 を整えていますが、待っているだけでは助からない、助けられない命もあるため、「攻めの医療」 として2015年から「12誘導心電図伝送システム」の導入、2017年よりドクターカーによる病院前診療を導入しています。

「攻めの医療」を展開することで、それまで「仕方ない」と諦めていた、「諦めるしかなかった」命をすくいあげることが可能となってきています。

救急搬送の初療に携わるER看護師、救急救命士、研修医の先生とは、平日毎朝行うER朝カンファレンスに参加してもらい、ER での判断や初期治療に悩んだ症例を共有し、様々な重症患者への初期対応策を身に付けてもらえる勉強会を2012年から続けています。

すべての重症患者へドクターカーが出動できるわけではないことと、もっと地域を助けるためには、現場で活動する救急隊・消防・救助隊のみなさんとの良好な連携が必要です。

そのため、3ヶ月に1度定期的に行っている救急症例検討会は、毎回院内外をあわせて100名を越えるみなさんに参加していただき、2022年7月で開催も45回を越えております。

ドクターと消防との実践での連携訓練も定期的に行い、振り返り、共有し、実働に生かす活動をしています。

2022年はCBRNE災害時での連携、複数消防と多数傷病者事案への連携活動について確認することができました。

災害医療

急性期医療を行う救急部においては、災害医療の基礎となるCSCATTTの考え方をことあるごとに利用することで、災害医療を通常診療の延長におく事としています。
また、2014年9月にはDMAT指定医療機関に認定され、2016年4月に起こった熊本地震には沖縄最先着隊として熊本へ派遣されました。

2017年には、三戸医師が日本DMATインストラクターとして認定され、新規のDMAT隊員養成研修や技能維持研修などの講師として県内外の訓練、研修に参加し、現在、医師2名(2名とも統括DMAT)、看護師2名、業務調整員3名の7名で活動しています。

2021年の熊本豪雨災害では、被災地支援・本部支援活動を行ってきました。
複数の災害医療・支援活動を経験し、ERで行う救急診療・病院前診療の質の向上に還元し、多数傷病者対応事案や、同時多発での重症患者対応などにERスタッフが活用できるシステムを構築することでできています。

2020年〜2022年にかけてのCOVID19感染爆発時期には、クラスター施設への支援や、県庁内におかれた県コロナ本部へのDMAT派遣も行いました。