高齢2型糖尿病者に対するヘアゴムを使用したレジスタンス運動効果の検証

文：健康運動指導士・理学療法士　文　長嶺　敦司（ながみね　あつし）　

本誌でも度々紹介している、「ヘアゴムエクササイズ」ですが、この度、令和2年度健康運動指導研究助成を受け「高齢2型糖尿病者に対するヘアゴムを使用したレジスタンス運動効果の検証」の研究^※１が終了しましたので報告します。

※１　当院倫理審査委員会承認番号：02-08

1. この研究の目的
2. 研究の方法
- - 2.0.1. ヘアゴムエクササイズ6種目
  - 2.0.2. 指導の様子
3. 研究の結果
4. 研究のまとめ

この研究の目的

ヘアゴムバンドと重りの付いたバンド（重錘バンド）と比較し、ヘアゴムエクササイズ^※2がもたらす運動効果を検証し、超高齢社会に適した新たな在宅運動療法としての可能性を示すことです。

研究の方法

ハートライフクリニックに通院されている42名の高齢2型糖尿病者を対象に、期間は6か月間、第Ⅰ期（3カ月間）は運動効果および在宅運動の自信の変化、第Ⅱ期（3か月間）では、終了時に各種目の利便性、コロナウイルス感染蔓延期での運動実施状況・指導についての質問紙にて実施しました。

ヘアゴムエクササイズ6種目

指導の様子

研究の結果

ヘアゴムエクササイズは重錘バンドと同等の効果が得られた
血糖コントロール改善（ヘモグロビンA1c）
運動機能（下肢筋力、バランス、柔軟性、歩行能力）が向上
ロコモティブシンドロームに対して予防効果
疲れ、痛み、時間、環境・道具、一人でも実施できる自信が高かった
「準備」「気軽さ」「手入れ」「扱いやすさ」「動作が簡単」など、利便性に優れていた
コロナウイルス感染蔓延期でも安全、安心に在宅運動の実施、運動指導を受けることができた

研究のまとめ

ヘアゴムエクササイズは、高齢2型糖尿病者の血糖コントロールの改善や運動機能の向上、ロコモティブシンドローム^※3の予防効果の可能性がありました。そして、安価で動作が簡単で、在宅にて実施可能で、超高齢化に適した筋力運動としての可能性が示されました。本研究に参加された皆様のご理解とご協力に深く感謝しております。