肺癌の生存率 2023年
対象期間 | 2016年1月1日~2022年12月31日 |
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観察終了日 | 2023年8月31日 |
予後調査 | 来院情報 市町村住民票照会 |
生存率算出方法 | カプランマイヤー法(実測生存率) |
全症例数 | 132名 男:97名 女:35名 |
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男女比 | 2.8:1 |
平均年齢 | 78.7歳 |
Stage判明率 | 100% |
消息不明数 | 9名 |
消息判明率 | 93.2% |
①肺癌の男女別年齢階級グラフ
全症例数 | 132名 男:97名 女:35名 |
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男女比 | 2.8:1 |
平均年齢 | 78.7歳 |
【解説】
罹患率は、男性の方が女性より高く、年齢別では男性は80代前半が最も多く、次いで70代前半となっております。一方女性では、80代前半が最も多く、次いで80代後半となっております。
②肺癌の男女割合
全症例数 | 132名 男:97名 女:35名 |
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男女比 | 2.8:1 |
【解説】
2020年診断の全国がん登録からのデータでは、男女比が2.0:1であるのに対し、当院は2.8:1と男性の割合が全国より高くなっています。
③肺癌のステージ別症例数
ステージ別 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | 全体 |
人数 | 10名 | 5名 | 21名 | 96名 | 132名 |
【解説】
癌の進行の程度は、「ステージ(病期)」として分類され、通常ローマ数字で表記されます。ステージは、癌の大きさなど(局所進展度)、リンパ節や他の臓器への転移の有無に基づいて決定されます。Ⅰ期が最も早期で、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期と進行度が高くなります。当院の症例では、Ⅳ期が最も多く、次いでⅢ期、Ⅰ期、Ⅱ期の順でした。手術可能な方は、他施設へ紹介しており、今回の人数には含まれてません。
④肺癌(病期別)のカプランマイヤー(生存曲線)
【解説】
ステージ別の60か月(5年)生存率は、Ⅲ期が17%、Ⅳ期が5%でした。当院では、肺がんの手術を行っていないため、手術可能な患者さんは専門施設へ紹介することが多く、データから除外しております。そのため、Ⅰ期、Ⅱ期は症例数が少なく、正確なデータを取得することができず、Ⅲ期、Ⅳ期のみのデータとなっております。当院は、実測生存率を採用しているため、他の疾患による死亡も含めております。
肺癌について
肺癌とは?
肺癌は、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものです。肺癌は喫煙との関係が非常に深いがんですが、タバコを吸わない人でも発症することがあります。周囲に流れるタバコの煙を吸う受動喫煙により発症リスクが高まることもわかっています。
近年、肺癌は日本人の癌による死亡原因のトップとなりましたが、まだ増加する傾向にあります。
肺癌の症状
肺癌の一般的な症状としては、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、呼吸器時のぜーぜー音(喘鳴)、息切れ、声のかれ(嗄声)、軽度の発熱、顔や首のむくみなどがありますが、必ずしも肺癌特有のものではありません。
肺癌の検査
肺癌の検診方法として“効果がある”とされているのは「胸部X線検査」です。また、肺癌が疑われるときには、胸のX線検査や喀痰細胞診、血液検査、胸部CT、腫瘍マーカー、気管支鏡検査などを行います。必要に応じて胸水検査、経皮的肺穿刺・生検、脳のMRI、腹部CTや超音波(エコー)検査、骨シンチグラフィー、PETなどを行うこともあります。
肺癌の治療
肺癌の治療は、肺癌の分類(非小細胞肺がんと小細胞肺がん)と病期(ステージ)に基づいて治療法が決まります。非小細胞肺癌には、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌等が含まれます。
肺癌の分類、病期によって、手術、放射線、薬物療法(抗がん剤治療)、を行いますが、現在、当院では手術、放射線治療を行っておりません。
小細胞肺癌は、診断された時点で転移がみられることが多い一方で、非小細胞肺癌に比べて抗がん剤治療の効果が高いため、抗がん剤治療が中心になります。
肺癌の予防法
肺癌の最大の原因は、喫煙習慣です。たばこに含まれる多くの有害物質が発がんリスクを高めています。喫煙者本人だけでなく、受動喫煙が発がんリスクを高めることも要注意です。
また、アスベストについては過去にアスベストを扱う職業で、アスベストが空中を舞うような環境で行っていたかが重要になります。現在の環境ではアスベストによる肺がんの発症は考えにくく、過去の作業を行ってから30年から40年経つと潜伏期間が終わり発症すると考えられています。
次のページでは2018年の肺癌について解説します。