常に最高のチーム力で挑む脳血管内治療

常に最高のチーム力で挑む脳血管内治療

ハートライフ病院では脳血管内治療専門医を中心に麻酔科医、看護師や診療放射線技師、臨床工学技士、リハビリテーション担当療法士(理学、作業、言語)、医療ソーシャルワーカー等からなるチームで患者さんと関わりながら治療を行っています。

まずはじめに脳血管内治療について教えて下さい。

脳血管内治療は従来行われてきた頭を切開する開頭手術とは異なり、足の付け根や腕の血管からカテーテルという細い管を挿入して治療する方法の総称です。開頭手術などと比べて患者さんの体に負担が少ないことが大きなメリットです。当院では主に脳動脈瘤や頸動脈狭窄症、急性期脳梗塞を行っています。

<対応疾患>
脳動脈瘤
頸動脈狭窄
硬膜動静脈瘻
急性期脳梗塞

<主な治療>
脳動脈瘤コイル塞栓術
頸動脈ステント留置術
急性期血行再建術
脳腫瘍術前塞栓術
血管腫塞栓術

頚動脈ステント留置術(CAS)はどういう治療方法ですか?

頸動脈狭窄症の治療法です。先端にバルーンと呼ばれる風船が付いたカテーテルを動脈から挿入し、頸動脈の血管の狭くなってしまった狭窄部位まで入れます。バルーンによって狭窄部を拡張したら、ステントと呼ばれる金属のメッシュでできた円筒状の管を、カテーテルを通じて入れ込み、狭窄部に留置します。ステントには自己拡張能力があるため、血管内に留置することで拡張をはじめ、狭窄部を広げてくれるのです。
治療時間は2~3時間程度で済み、治療後の安静時間も1日で済みます。翌日から食事や歩行も可能で、1週間も経たず退院されるケースも少なくありません。
直達手術においては重篤な合併症と懸念される、下位脳神経麻痺による嚥下障害のリスクが少ないのもメリットです。

頚動脈ステント留置術(CAS)

矢印で示した箇所に狭窄が認められます。術後、狭窄部分が拡張されている事がわかります。

脳動脈瘤コイル塞栓術はどういう治療方法ですか?

脳動脈瘤は血管の壁が膨らみ、そこに血液が入り込みコブのような状態になったことを言います。脳動脈瘤コイル塞栓術はこの脳動脈瘤の中にコイルと呼ばれる柔らかい器具を挿入して、動脈瘤の破裂を防ぐ治療法です。
コイルを挿入することで、動脈瘤の中に血液が流れ込むのを防ぎ、破裂を抑えます。
治療後は翌日から歩行や食事が可能となり、1週間ほどで退院が可能です。最近はステントも用いて、以前では難しかった症例にも対応できるようになりました。

脳動脈瘤コイル塞栓術

当院で経験した脳動脈瘤コイル塞栓術です。矢印で示した箇所に動脈瘤が認められます。術後、動脈瘤が消失している事がわかります。

脳血管内治療チームについて教えて下さい。

治療を担当する日本脳神経血管内治療学会専門医をはじめ、患者さんの状態管理を担う麻酔科医や治療をサポートする看護師、また、カテーテル治療ではアンギオ装置で造影剤が血管を流れる様子をX線で撮影していますが、それらを管理・モニタリングする放射線技師、医師の指示のもとでカテーテルやバルーンなどの受け渡しや、アンギオ装置や脳血管内治療に必要な機器の管理で治療をサポートする臨床工学技士、さらに術後リハビリを担う、理学・作業・言語療法士、術前から術後まで総合的に患者やその家族のサポートを担当する医療ソーシャルワーカーなどで構成されています。
このように多職種がそれぞれの専門分野で術前から術中、術後まで患者さんと関わり合いながら治療・ケアを行うことによって、最善の医療を提供する事を目的としています。

最後に読者へひとことお願いします。

脳血管内治療は、頭に創を作ることなく治療ができますので、「頭を切られるのはちょっと」という患者さんにも治療の選択肢を広げることができます。
治療器具の発展により常に進歩する治療法で、時間の制約はありますが、脳梗塞で詰まった血管を再開通させることで後遺症を最小限に抑えることもできる時代となりました。
しかし症例によっては血管内治療ができない、困難なこともあり、症例によりどの治療法が良いのか、検討してから提案するようにしております。一番いい治療法は何か、専門性を活かし一緒に考えていきたいと思います。

監修-supervise-

上笹 航

ハートライフ病院 脳神経外科

脳血管治療部長

プロフィール

北里大学医学部を卒業後、北里大学脳神経外科、西島病院及びその関連病院を経て、平成17年にハートライフ病院へ入職。現在は脳血管治療部長。
<学会認定等>
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本神経内視鏡学会技術認定医

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