4つの対策で新型コロナウイルス感染リスクを「ゼロ」に「近づける」~かりゆし会の感染症拡大防止対策~

4つの対策で新型コロナウイルス感染リスクを「ゼロ」に「近づける」~かりゆし会の感染症拡大防止対策~

新型コロナウイルス感染リスクを「ゼロに近づける」 

目に見えない細菌やウイルスを原因とした感染症は、対策を行っても感染のリスクがゼロになるわけではありません。そのため複数の対策を重ねて講じることで、リスクをより「ゼロに近づける」ことが重要となります。
かりゆし会では病院をはじめとした地域の皆様と密接にかかわるサービスを提供しており、様々な年代や立場の方と非常に多くの接点があります。どの施設でも感染症拡大予防策が非常に重要であり、患者さんやご利用の皆様にご協力をいただくと同時に、「職員がうつらない、うつさない」ことが、患者さんや施設利用者の皆様に感染を広げないために最も有効な手段と考えています。
万一、職員や患者さんに散発的に陽性者が発生した場合も、適切に対応することで感染拡大を防止できるように努めています。ハートライフ病院を例に、新型コロナウイルス感染症に対してどのような対策を行っているのかをご紹介します。

1.新型コロナウイルスに感染しにくい環境づくり

入館者トリアージ

正面玄関以外を閉鎖したうえで正面玄関入口に職員を配置し、体調確認や入館目的の確認を行っています。また、発熱症状がある方を別ルートに誘導することで、他の方との接触を回避しています。地域の感染状況に応じて面会制限、面会禁止、入館制限の順で制限を実施していますのでご協力をお願いします。

マスク着用の徹底

すべての皆様に、入館時にマスク着用をお願いしています。マスク未着用では入館できません。マスクを忘れた場合は、入口で個売のマスクをご購入いただきます。

手指消毒の徹底

すべての皆様に、入館時の手指消毒をお願いしています。

入口・出口の専用化(一方通行)

正面玄関を2つのゾーンに分割して一方通行にすることで、人と人が近づきすぎないようにするとともに、入館時のチェックを徹底できる体制をとっています。

サーモカメラによる発熱者検知

入口にサーモカメラを設置し、発熱している方の検知を行っています。サーモカメラによる体表温測定は参考値なので、発熱を検知した場合は、通常通りわきに挟む体温計で再度体温測定を行い、実際に発熱しているかを確認しています。

ソーシャルディスタンス確保

待合の座席については、1~2つ飛ばしで着席するよう表示を施しています。また、行列ができやすい総合受付や自動受付機、自動精算機付近では、足元に待ち位置を表示し間隔を保っていただくように対策を行っています。

全館各所で換気を実施 

空調システムによる換気に加え、必要に応じて窓や扉を開放することで換気を行っています。

エレベーター内での会話自粛

エレベーターは構造上3密を避けることが難しいため、飛沫が飛ぶ恐れがある「会話」を控えていただいております。

共有部分の定期消毒 

自動受付機や自動精算機、公衆電話やATM、エレベーターなど、皆さんが手を触れて操作する場所は定期消毒を行っています。

対面での飛沫に対する多重対策 

ハートライフ病院の各種受付カウンターでは、飛沫防止のためのスクリーンが設置されています。「利用者も職員もマスクをしているので不要では?」と思われるかもしれません。新型コロナウイルスは「飛沫感染」で広がります。実は、飛沫感染は口や鼻だけでなく目からも感染します。また、病院では「マスクの着用が不完全な方」がいるかもしれない前提で対応しています。マスクの着用と飛沫防止のスクリーンを組み合わせることで、感染リスクを下げる効果があります。なお、スクリーン越しでなく患者さんと近くで接する職員については、フェイスシールドやゴーグルを着用して感染対策を行っています。

2.新型コロナウイルスに自分がうつらない・3.新型コロナウイルスに自分からうつさない

日々の体調管理・確認を行っています

職員は勤務日か休みかにかかわらず、毎日、自身の発熱の有無やかぜ症状の有無を確認・管理し、所属長へ報告しています。部署単位で発熱などの体調不良を把握し、異常がある場合は「感染管理対策室」の専従看護師に報告を行い、早い段階で自宅待機など適切な対応をとるよう徹底しています。

「濃厚接触」になりにくくしています~感染管理認定看護師の指導~

感染管理の認定看護師が専従で勤務し、患者さんのみならず職員に対する感染防止対策についても適切な対応や指導を行っています。職員はその指導に従って3密を避ける、不要・不急の外出や人との接触を避ける等の対策を行い、自分が「うつらない」、「うつさない」を心がけています。この対策の結果、「濃厚接触」になりにくくなっています。感染リスクをゼロにすることはできないため、「できる限りゼロに近づける」ことが重要です。

業務中の対面時での対策~対面での飛沫に対する多重対策~

「感染しにくい環境づくり」でもご紹介した通り、対面する場所には飛沫防止のスクリーンを設置しています。ただし、患者さんへの処置や説明のためにスクリーン越しでなく近くで接する職員については、フェイスシールドやゴーグルを着用して感染対策を行っています。

~職員の休憩時の対策~

通常は休憩で使用していない会議室などを休憩場所として開放することで、3密にならないように努めています。マスクを外す食事中などは会話は禁止されており、また対面にならないように席を配置し、常時窓を開放するなどの対策も行っています。

4.疑わしい時はすぐに対処

職員に発熱やせきなどの「かぜ症状」がある場合職員ももちろん入館できません。PCR検査や抗原検査など様々な検査方法がありますが、いずれにしても検査を受けなければ、新型コロナウイルスの陽性・陰性は判断できません。

ハートライフ病院では、職員に新型コロナウイルス感染の疑わしい症状(発熱や咳などのかぜ症状)が出た場合には、勤務せずにすぐ検査を受ける体制を整えています。「これくらい大丈夫」と勤務して、患者さんやほかの職員へ感染が拡大することを予防しています。

もし職員が検査で陽性になったら

万が一、検査を受けた職員が陽性だった場合は、速やかに接触歴のある人物を特定し、必要があれば隔離・検査を実施することで、周囲への感染の広がりをブロックします。速やかに対応することで、職員間はもちろん、患者さんやご家族への感染リスクも低減できています。

隔離や検査の対象者はどのように決めている?

上の図1は陽性者との接触具合により、隔離・検査の必要があるかを判断するイメージです。この図の例では、黄色の円の2名が「濃厚接触」または「濃厚接触の疑い」となり「隔離・検査対象」となっています。緑の円の4名は、「接触歴なし」か「必要な対策をしていた」ため、隔離・検査の対象外となります。

黄色の2名と緑の4名の違いは、「自分からうつらない、うつさない」の対策を徹底して実施していたかの違いです。もし黄色の2名も対策を講じていた場合、「濃厚接触」とはならないため緑に含まれていたはずです。

濃厚接触となった2名は隔離・検査対象のため、上の図2のようにさらに接触者を調べます。万が一、黄色の中に陽性者がいた場合、さらにその先の接触者まで調査しなければなりません。図3のように感染症は芋づる式に増えていくので、「うつらない」、「うつさない」を徹底しています。

ハートライフ病院では、感染拡大防止のために「濃厚接触」または「濃厚接触疑い」の職員は、陰性が確認できるまで自宅待機としています。もし芋づる式に自宅待機の職員が増え続けた場合、病院の機能縮小や機能停止の恐れがあります。もし、患者さんと接触していた場合は患者さんも隔離対象になります。

「うつらない」、「うつさない」取り組みは職員間の感染防止と同時に患者さんへの感染防止にもなっています。ただし、いくら対策を講じても、やはり感染の確率がゼロになるわけではありませんので、ハートライフ病院では、隔離・検査対象とする黄色に区分する基準を、念のために厳しく設定して対応しています。この措置は、たとえ対策をしていても、毎日長い時間一緒に勤務するため、万が一の陽性者見落としリスクを回避するためです。

著者 -Author-

ハートライフ病院 経営企画室
知念 政治

<監修> 感染管理認定看護師 城間 克也

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