早期発見・早期治療につながる 大腸がん早期発見プロジェクト

早期発見・早期治療につながる 大腸がん早期発見プロジェクト

監修:大腸がん対策委員会

長寿県陥落

沖縄県といえば、長寿県のイメージがありますが、現実は表1のように、1980年代は男女とも全国1位だったものが近年は急降下し、直近の2020年の国勢調査では男性が43位、女性も16位に順位を下げました。特に男性は最下位になる勢いです。さらに悪い情報として、35〜64歳の早世率(65歳未満で亡くなる率)が男女ともに全国ワーストで、今後さらに順位を落とすことが確実視されています。残念ながら長寿県沖縄は完全に過去のものとなったのです。

表1 沖縄県の平均寿命の推移

出典:厚生労働省ホームページ 令和2年都道府県別生命表の概況表2 平均寿命の年次推移(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk20/index.html) をもとにグラフに編集

がんの統計で大腸がんが1位に

国立研究開発法人国立がん研究センターから発表された「最新がん統計のまとめ」によると、2019年に新たに診断されたがんは約99万人(男性56万人、女性43万人)、2021年にがんで死亡した人は約38万人(男性22万人、女性16万人)でした。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%(2人に1人以上)女性51.2%(2人に1人)といわれています。また、がんで死亡する確率は男性26.2%(4人に1人)女性17.7%(6人に1人)となっています。つまり、日本人の半分以上が一生の間にがんに罹患するのです。
ちなみに2019年のがん罹患数では、大腸がんが男女ともに2位で男女総計では1位です(表2)。2位以降は、肺がん、胃がん、乳がん、前立腺がんと続いており、特に近年は大腸がんの急増が著明です。

表2 がん罹患数の順位(2019年)

1位2位3位4位5位
総数大腸乳房前立腺大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位
男性前立腺大腸肝臓大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性乳房大腸子宮大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

早期発見プロジェクトで二次予防

病気の予防には、病気にならないようにする一次予防と早期発見で完治させる二次予防があります。いくら生活習慣を気をつけても、日本人の半分以上はがんになることを考えると、2次予防で早期発見に努め、治療で治すことがもっと大切だといえます。大腸がんになったとしても早期発見で完治させることができるからです。
当院では2017年から「大腸がん早期発見プロジェクト」を開始し、入院患者さんに無料で検査を行い、多数の早期大腸がんやがんになる前の病変(大腸腺腫)を発見し、治療につなげています。

大腸がん早期発見プロジェクト

このプロジェクトの対象者は、①予定入院の患者さん、②2泊以上、③35歳以上の3つの条件を満たす方で、便の中に血液が混じっているかを調べる検査(便潜血検査)を無料で行っています。検査方法は、参加希望者に対し容器をお渡しして、入院当日に提出してもらいます。検査が陽性であれば、退院時に看護師より検査結果を説明し、希望があれば消化器内科の予約を取り、さらに詳しい検査である大腸内視鏡検査をお勧めしています。

検診よりも高い陽性率で早期発見に貢献

表3は便潜血検査の結果です。2017年5月から2023年8月までの総数は2,587件、そのうち311件が陽性という結果でした。一般の検診の陽性率が5~7%であるのに対し、このプロジェクトの陽性率は12%と高い陽性率であることがわかります。 

表3 便潜血検査の結果 n=2,587

精密検査の結果12件の大腸がんを発見

表4は便潜血検査で陽性となり、精密検査を受けた方の診断結果です。大腸がん8件、大腸上皮内がん(ステージ0期のがん)4件、ポリープ106件を発見しました。異常なしは20件、ほかに痔核や大腸憩室などを認めました。

表4 大腸内視鏡検査の結果 n=169

要治療66件の治療実施

要治療となった66件の治療を当院で行いました(表5)。大腸がんの手術は8件、大腸上皮内がんは4件、大腸ポリープ(腺腫含む)54件ではEMRを実施しました。EMRとは、内視鏡の先端からポリープにスネアと呼ばれる金属の輪っかをかけて高周波電流を流し、ポリープを焼いて切り取る手術です。

表5 要治療となった件数と治療内容 n=66

最後に

2021年都道府県別の大腸がんの死亡率は、沖縄県が男性1位、女性18位、男女計3位で、深刻な問題となっております。理由として、全国の大腸がん検診受診率が45.9%に対し、沖縄県は38.4%と低く、検診での発見、早期治療が行えていない可能性があります。さらに、精密検査の受診率も全国が71.1%に対し、沖縄県は57.2%と低く死亡率を押し上げている原因の1つかもしれません。
早期発見・早期治療につなげるためには、年1回は大腸がん検査(便潜血検査)を受けること、便潜血陽性と判断されたら、大腸内視鏡検査を受けることが重要になってきます。大腸がんで大切な人を亡くさないために、またはご自身のために、いま一度、検診の重要性を認識してみるのはいかかでしょうか。

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