糖尿病とこころ ~臨床心理士の役割~

糖尿病とこころ ~臨床心理士の役割~

文:ハートライフクリニック 臨床心理士   西 珠美

臨床心理士はこころの専門家

「臨床心理士」という職業を耳にしたことはあるでしょうか?臨床心理士というのは一言で言うと「こころの専門家」です。人それぞれがこころに抱えている悩みや問題について、その人のお話をお聞きしながら、問題を解決したり苦しみを和らげるお手伝いをしています。ハートライフクリニックには、糖尿病内科専任の臨床心理士がいます。これは全国でもかなり珍しいことです。なぜ身体の病気を扱う糖尿病内科に「こころの専門家」である臨床心理士がいるのでしょうか?

糖尿病治療の主役は患者自身

糖尿病治療の基本は日頃の食事と運動です。つまり治療の主役は患者さん自身であり、主な治療の舞台は病院ではなく患者さんそれぞれの生活の場です。食事や運動、服薬、人によっては血糖測定やインスリン注射も、すべて毎日の生活の中で行なっていくことです。つまり、糖尿病とその治療は、患者さん自身の生活そのもの、もっと言うと毎日の生活の積み重ねである人生そのものと切っても切り離せないものだと言えると思います。

患者さんに寄り添い病との付き合い方を共に見つける

人間は誰一人としてまったく同じ生活や人生を送りません。だから自然と糖尿病との付き合い方も人によって変わってくるのです。糖尿病のことを頭では理解していても気持ちが追い付かない人もいれば、周りの人達との関係や生活状況などの要因でどうしても治療に取り組む気持ちになれない人もいます。そして臨床心理士が専門とする人の「こころ」もまた、二つとして同じものはありません。人それぞれ違うところを大切にするという視点を持ちながら、そして患者さんそれぞれの気持ちに寄り添いながら、その人なりの糖尿病との付き合い方を見つけていくお手伝いをすることに、糖尿病治療における臨床心理士独自の役割があると考えています。
クリニックという限られた接点ではありますが、糖尿病は患者さんの人生や患者さん自身に深く関わり、お互いに影響を与え合うものだということを考えながら、日々患者さんとお会いしています。

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