令和2年度 ハートライフ病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 510 178 271 462 545 768 1433 1573 1389 634

(項目説明)2020年度(令和2年4月1日~令和3年3月31日)に当院を退院された患者さんを10歳刻みの年齢階級別に集計しました。年齢は入院日の満年齢となります。
(解説)
当院は「わたしたちは心と心を結ぶ信頼される医療をめざします」を理念とし、地域医療支援病院として沖縄県中南部東海岸の中核病院として質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。
当院の入院患者さんは60歳代から80歳代が多く、60歳代以上の患者さんが全体の約64.8%を占めています。昨年度の退院患者数は8,958名でした。コロナ禍における入院患者の制限等が影響し1,195名の退院患者数減となっています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

(項目説明)
診療科ごとに症例数の上位3つの診断群分類(DPC14桁分類=DPCコード)について集計しています。
項目はDPC14桁分類に対する症例数、平均在院日数(自院・全国)、転院率、平均年齢、患者用パスの有無で、指標に示されるそれぞれの項目に関しては以下の通りです。

◇DPC14桁分類(DPCコード)
診断群分類を表すコードです。医師によって決定される主病名と、一連の入院期間中に行われた医療行為の組み合わせによって分類されますので、同じ主病名でも医療行為が違えばDPCコードも異なります。

◇DPC名称
14桁の数字はどのような病気と治療方法で分類されているかを表します。全てに意味をもち、全国共通のコードとして使用されております。

◇平均在院日数(自院)
当院へ入院していた患者さんの在院日数を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。

◇平均在院日数(全国)
厚生労働省から公表されている、平成30年度における全国のDPC対象病院の在院日数の平均値です。ただし、在院日数から外泊日数が除かれた数値になります。

◇転院率
該当する症例数のうち、当院から他病院に移動して入院継続(転院)することとなった患者さんの割合です。

◇平均年齢
当院へ入院していた患者さんの年齢を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。

内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060100xx01xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 279 2.1 2.66 0.00 63.46
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 200 12.93 13.00 5.50 79.72
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 150 17.72 20.51 16.00 87.54
050130xx9900xx 心不全 114 14.82 17.23 6.14 84.97
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 110 7.17 7.74 0.00 66.12
(解説)
当院では大腸内視鏡を積極的に行っており、大腸ポリープを含む小大腸の良性疾患の患者さんが多く入院しております。そのほかの内科の入院については、高齢化を反映しており、尿路感染、誤嚥性肺炎の入院が多くなっています。 高齢の患者さんの入院は、長くなることが多いですが、当院ではリハビリテーション等積極的に行っており、入院の期間が短くなっております。可能な限り自宅や施設で過ごす時間が多くなるように、地域医療連携室を通し多職種での患者さんへの関わりを強化し、患者さんのADLを落とさないように努力をしております。
また、高齢化で心不全を合併する患者さんも多くなっています。心不全は今後増加する疾患として注目されており、当院では心臓リハビリテーション等行い、入院および外来でも施行できる体制を作っております。心不全の患者さんは入退院を繰り返すことが多く、その度にADLが低下するため可能な限り入院を回避する必要があります。可能な限り心不全を起こさないためには普段の食生活、運動の習慣が必要です。これはどんな疾患にも言えますが、それらの指導も行い健康で自宅で暮らせるように関わりをしております。
小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 119 3.89 6.13 0.00 0.00
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 107 2.02 2.12 0.00 2.05
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 41 6.15 10.91 4.88 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 37 6.43 11.19 0.00 0.00
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 20 3.5 6.47 0.00 1.15
(解説)
昨年度はコロナ禍の影響を受け、全体的な入院数が大幅減となっていますが、小児科では、RSウイルスをはじめとするウイルス感染が契機となる急性細気管支炎の症例が多く、特に保育園などからの集団生活を始める時期とRSウイルスの流行時期が重なることもあり、3月から8月に0~2歳の入院が増加する傾向があります。幼児や学童は気管支喘息や肺炎の入院もあります。

平成28年4月から小児アレルギー外来を開設し、食物経口負荷試験入院が100件以上と食物アレルギー関連の入院も増加しています。

また、当院には産科があり、新生児黄疸や新生児仮死、新生児一過性多呼吸などの新生児疾患は小児科が管理しています。産科分娩数の増加に伴い、小児科が介入する新生児疾患の増加がみられます。NICUでの管理が必要と判断した場合は、NICUのある近隣施設へ転院搬送を行っています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) 96 4.00 14.59 2.08 61.25
060010xx02xx0x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 60 3.77 13.72 0.00 70.68
060335xx02000x 胆嚢炎等 48 6.81 44.03 0.00 60.04
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 39 6.18 12.76 0.00 55.77
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 38 8.87 40.76 10.53 75.08
(解説)
外科で入院治療となる疾患で、多いものは鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)、胆嚢炎や胆嚢結石症で、腸閉塞が続きます。食道の悪性腫瘍が多いのは、内視鏡的切除後の狭窄に対して拡張術を頻回に施行した症例が複数例いたためです。その他に良性疾患としては肛門疾患(痔核や痔瘻など)を多く治療しています。悪性疾患としては、胃癌や大腸癌、乳癌が多く、手術治療だけではなく抗がん剤治療も担当しています。
昨今、超高齢化社会の到来で複数の併存疾患を持った患者様を治療することが当たり前となってきています。そのような状況のもと、各種疾患のガイドラインを遵守しつつ、他科専門医とも密接に連携して症例ごとに最も適切な医療を提供すべく奮闘しています。
整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 115 25.11 25.09 82.61 83.64
070230xx02xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 67 29.81 26.80 40.30 62.27
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 61 27.23 23.36 34.43 73.67
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 61 15.59 18.81 70.49 80.34
160760xx97xx0x 前腕の骨折 58 4.4 5.18 5.17 52.07
(解説)
整形外科入院は1,001人と減少していました。
傷病名でみると、骨粗鬆症の進行に伴い骨折しやすい部位(大腿骨近位部、橈骨、椎体)の骨折が上位を占めていました。
また、当院は膝疾患への取り組みを強化しており変形性膝関節症が2番目に多くなっています。
形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 21 11.14 12.87 0.00 52.43
070071xx97xxxx 骨髄炎(上肢以外) 14 26.64 34.05 35.71 65.07
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 12 2.92 3.07 0.00 72.17
070210xx01xxxx 下肢の変形 21.13
080250xx971xxx 褥瘡潰瘍 63.79
100100xx97x1xx 糖尿病足病変 44.59
110280xx97x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 15.20
(解説)
コロナ禍による手術制限があったので全体的な件数減少がありますが、当科では、慢性創傷(膿皮症・毛巣洞・褥瘡潰瘍・糖尿病性難治性下肢潰瘍など)に対する手術を比較的多く扱っております。これは、特に下肢の潰瘍に対するチーム医療が2019年から始まったことによる影響が大きく、近隣総合病院のみならず、県内遠方からも紹介を受けております。
また、形成外科診療で通常多く紹介を受けtる眼瞼下垂症についても挙筋前転法をはじめとした各種術式で対応しております。
慢性腎不全患者における維持透析のためにブラッドアクセス関連手術にも対応しております。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 48 15.04 18.86 56.25 67.71
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 30 12.00 9.68 33.33 78.30
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 14 10.71 8.18 35.71 74.64
010060×2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 13 10.69 15.54 15.38 68.69
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 10 21.40 22.35 70.00 75.20
(解説)
今年は例年と比べ脳卒中の多い年でした。
特に脳出血が多く、高血圧、糖尿病等の成人病治療の重要性を実感しました。
また、高血圧未治療、多量飲酒に関連すると考えられる疾患も多く、日ごろの健康への注意喚起が必要だと思われます。
産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 96 7.63 9.45 0.00 33.75
120260xx01xxxx 分娩の異常 35 7.31 9.45 0.00 31.71
120140xxxxxxxx 流産 31 1.32 2.42 0.00 33.52
120170x099xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週以上) 31 7.58 7.62 0.00 29.68
120165xx99xxxx 妊娠合併症等 25 5.84 11.19 0.00 32.72
(解説)
最も多い症例は既往帝王切開や骨盤位による帝王切開例です。
分娩の異常は分娩中の胎児機能不全や分娩停止により緊急帝王切開を施行した症例です。当科では24時間体制で緊急手術に対応、昨年度の帝王切開術(選択・緊急)は152件の実施がありました。
切迫早産は37週未満での子宮収縮や子宮口が開大傾向を来たし安静と薬物療法により妊娠期間の延長を図りますが高次医療機関への搬送を行うこともあります。
妊娠合併症は妊娠糖尿病や甲状腺機能異常、精神疾患合併、妊娠高血圧症候群など妊娠経過をみながらこれらの疾患をコントロールしていく必要があります。
眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 328 3.01 2.76 0.00 73.19
020250xx97xxxx 結膜の障害 27 2.19 3.22 0.00 59.48
020280xx97xxxx 角膜の障害 27 9.93 9.28 3.70 70.96
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 4.95
020280xx99xxxx 角膜の障害 15.44
020340xx97xxxx 虹彩・毛様体の障害 6.48
(解説)
眼科の入院の多くは手術目的となります。
最も多い症例は白内障手術で、全症例数の8割を占めます。入院治療は片目あたり2泊3日で行なっており、必要に応じて全身麻酔も行なっております。
また、当眼科は角膜移植治療を積極的に行なっており、前眼部疾患に関して沖縄県の中核的施設として琉球大学医学部附属病院をはじめ、沖縄県下の総合病院や眼科クリニックより紹介を受け治療を行なっております。
特に、角膜移植治療に関しては、虹彩整復や瞳孔形成、硝子体切除を併施することも増えており、より難度の高い治療も可能な限り行う体制を整えております。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 25 5.04 5.63 0.00 31.68
030400xx99xxxx 前庭機能障害 20 6.80 4.94 0.00 61.70
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 17 9.47 7.52 0.00 44.00
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 14 5.86 6.71 0.00 60.36
030390xx99xxxx 顔面神経障害 12 8.75 9.17 0.00 52.58
(解説)
耳鼻咽喉科は、耳、鼻副鼻腔、咽頭・喉頭(音声・嚥下含む)、頭頸部(悪性腫瘍含む)におけるあらゆる疾患に対応すべく、大学病院からの各専門医師の外来も行い、連携して診療しております。
最も多い疾患としては、コロナ禍ではありましたが一昨年度と同様に扁桃周囲膿瘍などの上気道感染症です。蔓延期には若干減りますが、やはり多い印象です。悪化した場合は気道狭窄(窒息)のリスクがあるため、入院での十分な抗生剤加療を要します。最初からしっかりと治療していくことで、入院後1~2日で食事は摂れるようになることが多いです。しかし、再燃を防ぐためにも5~7日程度(平均5.04日)の入院期間を要します。
その他疾患は、前庭機能障害(末梢性めまい症、前庭神経炎)、慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫(主に慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎等手術症例)、慢性副鼻腔炎(主に副鼻腔炎手術症例)、顔面神経障害(末梢性顔面神経麻痺に対する点滴加療)と続きますが、中耳炎手術は7日間(鼓膜形成は3日間、MRSAなど感染耳の場合は10日間程度)、副鼻腔炎手術は5日間、その他は1週間程度の入院期間を要します。
平均年齢は30~60代ですが、小児例も十分対応可能です。幼児や重症疾患合併小児例などは小児科に全身管理を依頼し、成人例同様にあらゆる耳鼻咽喉科疾患に対応しております。
泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 37 15.54 13.00 0.00 79.08
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 28 11.50 7.13 0.00 71.96
110420xx02xx0x 水腎症等 16 6.69 4.13 0.00 82.44
050130xx9901xx 心不全 14 5.86 18.64 0.00 66.64
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 14 9.43 8.52 0.00 74.93
(解説)
泌尿器科では尿路感染症の入院割合がもっとも多く、内訳として結石性腎盂腎炎、膿腎症、急性前立腺炎、急性精巣上体炎等です。治療としては、輸液、抗生剤投与、緊急尿管ステント留置術等実施しています。グラム陰性桿菌感染症で敗血症ショックに陥った重症例には、エンドトキシン吸着実施しています。悪性腫瘍では膀胱腫瘍が多く、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBt)目的の入院です。腎細胞がんでは免疫チェックポイント阻害薬投与目的の入院が数例あります。前立腺がんでは去勢抵抗性前立腺がんに対する抗がん剤治療例があります。末期がんの緩和治療目的の入院は前立腺がん、腎細胞がん等数例あります。
精巣捻転に対する夜間緊急手術症例も経験しました。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 16 15 15 1 8
大腸癌 11 21 42 36 26 2 8
乳癌 30 29 22 14 15 1 8
肺癌 41 25 1 8
肝癌 15 11 11 26 2 8

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

(項目説明)
5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を初発のUICC TNM分類、癌取扱規約の病期分類別、 および再発に分けて集計しています。
2020年度中に退院した延べ患者数となっております。つまり、集計対象期間中に複数回入院された患者さんも複数回カウントしています。
◇UICC病期分類
国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって各癌をⅠ期~Ⅳ期の4病期(ステージ)に分類するものです。
◇癌取扱い規約病期分類
日本で編集されている規約で、臓器別に国内の学会や研究会によって編集され、20を超える癌取扱い規約があります。UICC同様、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって各癌をⅠ期~Ⅳ期の4病期(ステージ)に分類するものです。
●原発巣・・・癌が最初に発生した場所にある病巣
(解説)
当院は、日本がん治療認定医機構の認定研修施設として、がん予防・診断・治療にも力を入れ、多くの実績を挙げております。
「初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数」の表から当院の初発件数を見ますと、大腸癌が一番多く、次いで乳癌、肺癌、胃癌、肝癌の順となっております。
では、臓器別に解説を致します。
胃癌に関しましては、近年検診の普及や治療技術の進歩により、死亡率は減少していると言われますが、依然として罹患率は高く、2019年国立がん研究センターの部位別死亡数データによると、男女計3位と今日においても、胃癌は主要な悪性疾患の一つです。
ステージⅣ、および再発の症例は、化学療法などで入退院を繰り返す患者さんを重複して集計をしている影響もありますが、当院では、ステージⅠが最も多く、次いでステージⅣとなっております。
がんの深さが粘膜にとどまり、転移のない早期胃癌であれば、がんだけを胃壁から剥がす内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により、胃を温存し治療を行うことができます。
進行度に応じて手術や化学療法など、患者さんの状態に合わせた治療を行っており、手術に関しましては、安全で確実な手技を第一に考え、低侵襲(腹腔鏡を用いた傷の小さい方法)を追求し、患者さんに対して、優しい治療を目指しております。
大腸癌は、全国的に増加傾向にあり、国立がん研究センターの人口動態統計による都道府県別がん死亡データによりますと、2019年沖縄県の大腸がんによる死亡率は、男性2位、女性35位、男女計3位と高く、現在も深刻な問題となっております。
当院でも大腸癌の症例は多く、病期別では、ステージⅢが最も多く、次いでステージⅣとなっております。胃癌同様、化学療法などの重複集計の影響もありますが、当院では、初診時より進行癌と診断される患者さんが多いのが現状です。
大腸癌は、早期に診断、治療が開始できれば根治が可能であり、当院では「大腸癌早期発見プロジェクト」を立ち上げ、入院患者さんに対し便潜血の無料検査を実施し、大腸癌死亡率低下を目指しております。
乳癌は、2018年国立がん研究センターの統計によりますと、女性のがん罹患率1位となっておりますが、当院も同様で増加傾向にあります。当院では、ステージⅠが最も多く、乳癌検診の推奨と受診率向上によるものと思われます。
各ステージや癌の種類、個々の状況に応じて、手術療法や化学療法、ホルモン療法、またそれらの組合せにより治療を行います。当院では乳房再建を行う形成外科医が常勤しており、乳輪・乳頭形成術も可能です。また、乳癌看護認定看護師による「がん患者カウンセリング」体制も整っており、ボディイメージの変容による心理的サポート、セルフケアの支援を行っており、きめ細かな対応を目指しております。
肺癌は、国立がん研究センターの部位別死亡数データによりますと、2019年のわが国における悪性腫瘍死亡率の中で肺癌の占める割合は、男性1位、女性2位、男女計1位、2021年の肺癌死亡数予測では、7万5000人が亡くなると予測され男女計1位(2位:大腸、3位:胃)と、がん死亡者数1位が長年続く難しい病気です。
化学療法などで入退院を繰り返す患者さんを重複して集計している影響もありますが、当院では、遠隔転移のあるステージⅣと診断される患者さんが圧倒的に多く、治療は呼吸器内科による化学療法が主体となります。肺癌の治療に関するガイドラインでは、ステージⅠ~Ⅱの場合は、手術療法が考慮されますが、手術、放射線治療が必要な患者さんは、肺癌専門医療機関と連携し、対応しております。
初発の病期分類が不明となっている方が多い理由としては、治療前の検査入院に該当する患者さんが多く、入院中に検査結果が出ていないため、不明となるケースや、当院は、肺癌の手術を行っていないことから、手術可能な患者さんは、ステージが不明のまま他施設へ紹介するケースが多いこと等が挙げられます。
肝癌は、リンパ節・遠隔転移のないステージⅡが最も多く、次いでステージⅢ、Ⅳと初診時より進行癌と診断される患者さんが多いのが現状です。
当院は、肝臓内科を標榜し、県全域から紹介があり、早期癌から進行癌まで幅広く診療に対応しております。
治療は、RFA(ラジオ波焼灼療法)、放射線科医によるTACE(肝動脈化学塞栓術)、外科医による肝切除術、化学療法を行っており、癌の進行度に応じ、個々の患者さんに最適な治療を行っております。肝癌は、治療後に再発することが多く、当院の患者さんも肝癌初回治療後の再発として、入院治療される方の割合が多くなっております。
当院では、わが国で発症率の高い5大がん、その他のがんについても、化学療法・手術療法など、患者さんにとって最善の医療を各診療科が相互に協力し行っております。がん治療の充実を図るため、外来化学療法室(名称:通院治療室)を整備し、医師・看護師・薬剤師と共に治療、副作用の対策を行い、安全で快適な環境で日帰りの抗がん剤治療を提供しております。
また、口腔ケア科を設立し、医科と歯科が連携を取り、手術・化学療法による合併症の抑制に努めております。他職種で構成される緩和ケアチームがあり、患者さんの苦痛を和らげる活動も行っております。
現在、新型コロナウィルス感染流行のさらなる拡大と、医療崩壊が危ぶまれる一方、病院の受診控えや、検診の自粛に伴いがんの早期発見・早期治療につなげる事ができない状況が懸念されております。
当院では、院内感染のガイドラインに基づき、院内感染対策を徹底して行い、検診を担当する予防医学センターの活動を継続しており、癌患者さんの診療も途切れる事なく継続しております。自己判断で受診を控えず、ぜひ検診を受けて頂きたいと思います。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)

成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 25 7.96 55.40
中等症 80 14.63 79.64
重症
超重症
不明

(解説)
成人市中肺炎の総数は312件から118件へ減少しています。原因としては新型コロナウイルス感染症が広がり、インフルエンザ等他の感染症の減少が要因と考えます。超重症の数は7件から4件へ減少しました。重症度別患者数では中等症が68%と最も多く、平均在院日数は14.6日で昨年度より1.2日長くなりました。軽症の平均年齢は低く平均在院日数も7.96日と短くなっています。重症の平均年齢は84才と高齢であり、在任日数も長期になっています。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)

脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 135 19.13 74.54 38.36
その他 11 22.91 69.36 3.42

(項目説明)
脳梗塞の病型別の症例数、症例割合、発症日から3日以内・その他、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しました。
○ICD‐10コード
「疾病及び関連保険問題の国際頭頚分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems」の略称で、死因や疾病の国際的な統計基準として、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した分類です。
現在の最新版は国際疾病統計分類 第10回修正(ICD‐10)が採択されています。
○平均在院日数
病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。
○転院率
該当する症例数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者さんの割合。
(解説)
「脳梗塞」と診断された患者さんの約9割の症例が発症3日以内でした。
当院では脳梗塞における入院後早期リハビリ実施患者の割合は91.0%と高く(昨年度は84.5%)、また、脳梗塞発症から短時間で t-PA治療、血管カテーテルによる血栓除去術も行っております。
脳卒中地域連携パスも運用しており、地域の回復期病院や開業医と連携を行なっております。
※表は一般社団法人日本病院会「2020年度QIプロジェクト「第4回フィードバックデータサマリー」から引用

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

(項目説明)
症例数の多い手術件数を各診療科別に集計した上位5つを掲載しています。 (定義)

手術術式の点数表コード(Kコード)による集計とし、輸血関連(K920$)や創傷処理などの軽微な手術、加算等は除外としています。

指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。

・Kコード
以下点数表で定められた、手術術式の点数表コードです。

・名称

手術術式の名称です。同一のKコードで複数の部位が対象となる手術は、 部位別に集計しています。

(例)整形外科K0461 骨折観血的手術(大腿)82件とK0461 骨折観血的手術(上腕)15件は別集計。

・平均術前日数

入院日から手術日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。

・平均術後日数

手術日から退院日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。

・転院率

該当する症例数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)する こととなった患者さんの割合です。

内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 267 0.37 1.07 0.00 63.81
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 74 2.01 1.80 1.35 68.03
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 64 3.16 9.02 3.12 78.94
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 43 2.86 4.05 2.33 75.30
K533-2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 38 3.55 8.39 2.63 61.11
(解説)
内科の手術としては、消化器内科、循環器内科が主に行っております。
消化器内科では、大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除がもっとも多くなっております。術後は経過観察目的で一拍入院で行っておりますが、ほとんどの症例で合併もなく、手術翌日に退院されております。消化器内科で次に多いのは、総胆管結石や閉塞性黄疸の治療のために行う内視鏡的胆道ステント留置術、膵炎の膵石の患者さんに行う内視鏡的膵管ステント留置術です。当院では肝硬変症も多く診ており、内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術も多くなっています。
循環器内科では、心筋梗塞、狭心症に対する経皮的冠動脈形成術を行っており、症例数も増加、ECMO、IABPを導入しより重症の患者さんも診ております。また、糖尿病、透析の患者さんに多い、閉塞性動脈硬化症に対するEVTを積極的に行い、症例数も年々増加しております。沖縄では歩く習慣があまりなく、発見されるときには重症の末梢血管病変となっていることが多く、今後は早期発見の啓蒙活動が必要と考えております。
小児科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度のもの) 19 0 4.74 10.53 0
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度のもの)
(解説)
当院産科の分娩件数の増加に伴い、新生児仮死への蘇生件数も増加しています。
また、他科入院での手術症例も、小児の場合は術前診察など協力を行っています。件数は少ないですが、小児外科や外科のバックアップのもと非観血的腸重積症整復術を小児科で施行しています。小児の皮膚感染症も当科で管理していますが、必要時は外科や形成外科にコンサルトし、皮膚切開術が施行されることがあります。乳幼児の耳鼻咽喉科関連の感染症の入院も小児科で管理しますが、必要時は耳鼻咽喉科にコンサルトし鼓膜切開術が施行されることがあります。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 112 1.02 1.46 1.79 51.62
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 93 1.56 5.19 1.08 58.98
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 36 0.69 3.25 0.00 34.86
K5222 食道狭窄拡張術(食道ブジー法) 34 0.06 1.62 0.00 72.85
K7432 痔核手術(脱肛を含む。)(硬化療法(四段階注射法によるもの)) 33 0.85 1.00 0.00 61.76
(解説)
手術を要する疾患で入院した患者様の術式で多い順に、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下虫垂切除術、食道狭窄拡張術、痔核手術となっています。
近年では大腸癌や乳癌の症例が増加傾向にあります。胃癌や大腸癌など悪性疾患に対する腹腔鏡手術は進行度に応じて適応としています。一方、良性疾患には可能な限り腹腔鏡手術を行なうようにしており、ヘルニアや胆嚢摘出術、虫垂切除術はほとんど腹腔鏡手術です。結果として、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術では術後在院日数が1.46日、腹腔鏡下胆嚢摘出術では5.19日、腹腔鏡下虫垂切除術では3.25日と良好な成績となっています。食道狭窄拡張術が多いのは内視鏡的切除後の狭窄に対して拡張術を頻回に施行した症例が複数例いたためです。また、乳癌ではセンチネルリンパ節生検を用いた乳房温存療法を行なっているだけでなく、形成外科の協力のもと乳房再建も行っています。痔核の手術は切らなくても良い手術、ジオン硬化療法も行なっています。食道アカラシアという比較的まれな疾患に対しては、POEMという内視鏡手術を行なっています。
このように各領域の疾患に対して、安全性と根治性を重視した上で、低侵襲手術(傷の小さい、体に負担が少ない手術)を追求しています。
整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術(前腕)(下腿) 103 0.88 2.55 0 47.82
K0821 人工関節置換術(膝)(股)(肩) 97 2.35 22.88 43.3 72.02
K0461 骨折観血的手術(大腿)(上腕) 79 3.05 18.33 79.25 82.46
K0462 骨折観血的手術(下腿)(前腕)(手舟状骨) 40 2.9 7.75 12.5 60.78
K0811 人工骨頭挿入術(股) 40 6.73 21.35 80 82.48
(解説)
2020年度は新型コロナ感染流行の影響で手術件数が減少しました。2019年度に施行した骨折手術の抜釘が2020年度へずれ込んだこともあり、骨内異物除去術が最多でした。
変形性関節症による関節痛に苦しみコロナ禍でも手術を希望される方は多く、安定した成績が得られる人工股関節置換術・人工膝関節置換術は2位でした。
三密回避で思うように外出や運動ができず足腰が弱り転倒しやすくなり、骨粗鬆症の進行した高齢者の骨折(大腿骨近位部・前腕)に対する骨折観血的手術および人工骨頭手術が上位を占めていました。
形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K0433 骨掻爬術(足その他)
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)
K6121ロ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(静脈転位を伴うもの)
K753 毛巣洞手術
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3センチメートル以上6センチメートル未満)
K110-2 第一足指外反症矯正手術
(解説)
コロナ禍による手術制限があったので全体的な件数減少が有りますが、2019年から足と傷のセンターによるチーム医療を開始したことで、潰瘍や骨髄炎に対する入院加療を多く行っております。再発予防や、潰瘍ができる前に足の形態の改善を図る「予防手術」にも積極的に取り組んでおり、特に外反母指に対する手術が増加傾向にあります。
形成外科では多く紹介を受ける眼瞼下垂については両側同時に行う場合には、原則短期入院による管理でダウンタイムの短縮を図っております。
近隣クリニックからの紹介による皮膚皮下腫瘍摘出術、四肢軟部腫瘍摘出術は、可能な限りは日帰り手術で対応し、年間500件以上を数えておりますが、その中で比較的大きな病変や安静管理を要するものについては積極的に入院管理を行っています。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭による) 23 0.26 11.43 39.13 79.83
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの)(脳内のもの)
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)
K1781 脳血管内手術(1箇所)
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの)
(解説)
例年と同様で最も多い手術は慢性硬膜下血腫ですが、今年は件数が多くなっています。
独居高齢者の転倒の症例が増えている印象です。
また、脳出血開頭手術も多く、高血圧未治療例、内服自己中断例が増えている印象です。
核家族、定期通院が何らかの原因で困難な人の増加がその一因でしょうか。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 89 1.97 5.76 0 33.84
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 56 0.79 5.89 0 32.11
K9091イ 流産手術(妊娠11週までの場合)(手動真空吸引法によるもの) 27 0 0.04 0 33.37
K867 子宮頸部(腟部)切除術 24 1 1 0 44.67
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) 21 1 3.52 0 34.24
(解説)
1、2番目に多い手術症例は既往帝王切開や骨盤位で予定を決めて行う選択帝王切開と分娩中の胎児機能不全や分娩停止による緊急帝王切開です。当科では24時間体制で対応しています。
流産手術では従来の掻爬術から最近では手動真空吸引管を用いて子宮内膜の挫滅をできるだけ避けて愛護的に施行することが推奨されています。
子宮頸部切除術は頸部前癌病変や初期癌の診断、治療を兼ねた手術です。
子宮付属器腫瘍手術は主に卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術で腫瘍部分のみ核出し、また切開創部が数㎜と小さいため術後の疼痛が緩和され社会復帰も早いのがメリットです。
眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 337 1 1.01 0 73.11
K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの) 24 0.08 1.04 0 63
K259 角膜移植術 19 1.05 10.32 5.26 65.74
K2542 治療的角膜切除術(その他のもの)
K269 虹彩整復・瞳孔形成術
(解説)
眼科の入院の多くは手術目的となります。
最も多い症例は白内障手術で、全症例数の8割を占めます。入院治療は片目あたり2泊3日で行なっており、必要に応じて全身麻酔も行なっております。
また、当眼科は角膜移植治療を積極的に行なっており、前眼部疾患に関して沖縄県の中核的施設として琉球大学医学部附属病院をはじめ、沖縄県下の総合病院や眼科クリニックより紹介を受け治療を行なっております。
その他、角膜移植治療に関連して、虹彩整復や瞳孔形成、硝子体切除を併施することも増えており、より良い角膜移植治療に必要な治療も可能な限り行う体制を整えております。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 17 1.06 5.41 0 29.47
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 13 1.69 5.54 0 40.85
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術)
K6261 リンパ節摘出術(長径3センチメートル未満)
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術)
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)
(解説)
耳鼻咽喉科では、口蓋扁桃摘出術の手術件数が最も多くなっております。慢性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群、IgAI腎症等の扁桃病巣感染症の方に手術適応があります。小児も対応しており増加傾向です。通常1週間程度の入院期間ですが、術後出血のリスクがあるため退院後も安静度や食事に制限を伴います。
次に鼓室形成術(耳小骨温存術及び耳小骨再建術)ですが、昨年度より私が当院へ就任させて頂き、耳科手術を専門としているため、近隣施設よりご紹介頂けていると考えております。小児~成人例まで慢性中耳炎や真珠腫等対応しております。
その他、内視鏡下鼻・副鼻腔手術、リンパ節摘出術があります。
当院では、耳科手術、鼻副鼻腔手術を中心に、頭頸部腫瘍も良性~悪性まで大学病院と連携して対応可能となっております。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 33 1.7 8.21 9.09 77.88
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 28 2.57 7.93 0 71.96
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用のもの) 14 2.5 5.93 0 74.93
K7981 膀胱結石摘出術(経尿道的手術)
K805 膀胱瘻造設術
(解説)
当院においては、前立腺肥大症及び膀胱腫瘍に対する経尿道的切除術を年間30例前後、尿管ステント留置術が40例前後(結石性腎盂腎炎に対する緊急尿管ステント留置術は10例前後)、体外衝撃波による腎尿管結石破砕術(ESWL)が40例前後、ピンハンマーによる尿管結石破砕は数例程度実施している。他に、陰嚢水腫根治術が数例、精巣捻転に対する緊急手術も実施している。経皮的腎瘻、膀胱瘻造設術は適宜実施している。
膀胱全摘術、腎摘術、前立腺全摘術に関しては他院へ紹介している。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 21 0.27
異なる 15 0.19
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 45 0.58
異なる

(項目説明)
最も医療資源を投入した傷病名が播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症の患者数を症例数とカウントし、全入院患者に対する発症率も同時に掲載した。
発症率はそれぞれの患者数÷全入院患者数×100とし、少数第2位までを表示している。
・指標に示されるそれぞれの用語説明
○DPCコード
病名や医療行為等を数字やxを用いて14桁で表示されるコードのこと。ここでは14桁のうち、病名となる上から6桁を表示しています。したがって、医療行為等は含まれていません。
○播種性血管内凝固症候群
感染症などによって起こる、全身性の重症な病態です。
○敗血症
感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。
○真菌症
真菌による感染症です。
○手術・処置などの合併症
手術や処置などに一定の割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。合併症は、どのような術式でもどのような患者さんでも、一定の確率で起こり得るものなので、医療ミスとは異なります。
○入院契機
DPCコードにて分類される主病名とは別に、入院のきっかけとなった病名(入院契機病名)がそれぞれの患者さんにつけられます。
○発生率 全入院患者さんのうち、該当の病気で発症した患者さんの割合です。
(解説)
厚生労働省による令和元年度のDPC対象病院の全国平均では、(上から)「播種性血管内凝固症候群」が0.15%、「敗血症」が0.47%、「その他の真菌感染症」が0.04%、「手術・処置等の合併症」が0.55%でした。
当院の数値は、「播種性血管内凝固症候群」、「敗血症」、「その他の真菌感染症」については、全国平均よりは下回っていますが、「手術・処置等の合併症」については全国平均をわずかに上回ってしまいました。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)

更新履歴
2021年9月22日

令和2年度病院情報を公開しました。