病院指標
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
医療の質指標
- リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
- 血液培養2セット実施率
- 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
- 転倒・転落
- 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
- 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
- d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
- 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
- 身体的拘束の実施率
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 933 | 225 | 273 | 519 | 545 | 853 | 1356 | 1757 | 1546 | 736 |

(項目説明)
診療科ごとに症例数の上位5位の診断群分類(DPC14桁分類=DPCコード)について集計しています。
項目はDPC14桁分類に対する症例数、平均在院日数(自院・全国)、転院率、平均年齢、患者用パスの有無で、指標に示されるそれぞれの項目に関しては以下の通りです。
◇DPC14桁分類(DPCコード)
診断群分類を表すコードです。医師によって決定される主病名と、一連の入院期間中に行われた医療行為の組み合わせによって分類されますので、同じ主病名でも医療行為が違えばDPCコードも異なります。
◇DPC名称
14桁の数字はどのような病気と治療方法で分類されているかを表します。全てに意味をもち、全国共通のコードとして使用されております。
◇平均在院日数(自院)
当院へ入院していた患者さんの在院日数を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。
◇平均在院日数(全国)
厚生労働省から公表されている、令和6年度における全国のDPC対象病院の在院日数の平均値です。ただし、在院日数から外泊日数が除かれた数値になります。
◇転院率
該当する症例数のうち、当院から他病院に移動して入院継続(転院)することとなった患者さんの割合です。
◇平均年齢
当院へ入院していた患者さんの年齢を症例毎に集計し、その値を症例数で割った平均値です。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) | 427 | 2.02 | 2.57 | 0 | 65.74 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 186 | 13.03 | 13.66 | 5.38 | 76.95 | |
0400802499x0xx | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) | 182 | 16.48 | 16.40 | 9.34 | 85.69 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 | 139 | 8.84 | 8.88 | 1.44 | 76.7 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 | 136 | 23.78 | 20.78 | 15.44 | 85.91 |
当院では大腸内視鏡を積極的に行っており、大腸ポリープを含む小腸大腸の良性腫瘍の患者さんが多く入院しております。その他の内科の入院については、患者さんの高齢化を反映しており、尿路感染症、誤嚥性肺炎の入院が多くなっております。高齢の患者さんの入院は、長くなることが多いですが、当院では早期からのリハビリテーションを積極的に行っており、嚥下評価や訓練を行うことにより寝たきりを防ぎ、入院期間をなるべく短くするように努力しております。可能な限り自宅や施設で過ごす時間が多くなるように、連携室を通し多職種での患者さんへの関わりを強化し、患者さんの生活の質を落とさないようにしております。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080270xxxx1xxx | 食物アレルギー | 488 | 1.02 | 2.10 | 0 | 3.27 | |
140010x199x0xx | 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) | 72 | 4.92 | 6.11 | 2.78 | 0 | |
0400801199x0xx | 肺炎等(1歳以上15歳未満) | 57 | 4.6 | 5.61 | 0 | 3.96 | |
040090xxxxxxxx | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 52 | 4.67 | 6.22 | 1.92 | 1.19 | |
140010x199x1xx | 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) | 35 | 5.57 | 10.60 | 17.14 | 0 |
小児科では、RSウイルスをはじめとするウイルス感染が契機となる急性細気管支炎の症例が多く、特に保育園などからの集団生活を始める時期とRSウイルスの流行時期が重なることもあり、3月から8月に0~2歳の入院が増加する傾向があります。幼児や学童は気管支喘息や肺炎の入院もあります。
平成28年4月から小児アレルギー外来を開設し、食物経口負荷試験入院が400件以上と食物アレルギー関連の入院も増加しています。
また、当院には産科があり、新生児黄疸や新生児仮死、新生児一過性多呼吸などの新生児疾患は小児科が管理しています。産科分娩数の増加に伴い、小児科が介入する新生児疾患の増加がみられます。NICUでの管理が必要と判断した場合は、NICUのある近隣施設へ転院搬送を行っています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 87 | 3.8 | 4.54 | 0 | 65.32 | |
060335xx0200xx | 胆嚢炎等 | 65 | 7.82 | 7.05 | 3.08 | 66.89 | |
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 56 | 6.07 | 5.99 | 1.79 | 56.73 | |
060241xx97xxxx | 痔核 | 51 | 2.69 | 5.38 | 0 | 62.27 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 50 | 8.6 | 9.08 | 4 | 72.82 |
外科で入院治療となる疾患は鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)が最多で、胆嚢疾患(胆嚢結石など)、胆嚢炎、痔核、腸閉塞と続きます。その他の疾患では大腸癌や乳癌が多く、手術治療だけではなく薬物療法(いわゆる抗がん剤治療)も外科で担当しています。
昨今、超高齢社会の到来で複数の併存疾患を持った患者様を治療することが当たり前となってきています。そのような状況のもと、各種疾患のガイドラインを遵守しつつ、他科専門医とも密接に連携して症例ごとに最も適切な医療を提供すべく奮闘しています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx02xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | 134 | 28.66 | 25.29 | 88.06 | 82.68 | |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む。) | 122 | 21.84 | 21.38 | 13.11 | 72.87 | |
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) | 65 | 16.25 | 19.16 | 83.08 | 82.15 | |
160760xx01xxxx | 前腕の骨折 | 60 | 3.7 | 5.95 | 3.33 | 64.83 | |
070343xx97x0xx | 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 | 54 | 16.96 | 15.41 | 11.11 | 73.67 |
整形外科入院は1225人と増加していました。
傷病名でみると、骨粗鬆症の進行に伴い骨折しやすい部位(上腕骨・椎体・橈骨・大腿骨近位部)の中で大腿骨近位部骨折が最多で橈骨骨折が3番目・椎体骨折が4番目でした。
また当院は膝関節疾患への取り組みを強化しており、変形性膝関節症が2番目に多くなっています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080010xxxx0xxx | 膿皮症 | 42 | 12.9 | 12.98 | 2.38 | 54.36 | |
180060xx97xxxx | その他の新生物 | 27 | 2.67 | 5.63 | 0 | 48.11 | |
070071xx97xxxx | 骨髄炎(上肢以外) | 19 | 37.53 | 33.46 | 10.53 | 68.79 | |
160200xx030xxx | 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) | 19 | 3 | 3.31 | 0 | 27.32 | |
020230xx97x0xx | 眼瞼下垂 | 11 | 3.55 | 2.74 | 0 | 74 | |
100100xx97x1xx | 糖尿病足病変 | 11 | 41.09 | 47.54 | 9.09 | 73.55 | |
110280xx97x00x | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 11 | 2.09 | 13.49729 | 0 | 68.36 |
当科常勤医が一人となって全体件数は減少していますが、昨年よりも患者数は増加傾向にあります。主に慢性創傷の診療を行っておりますが、コロナによる外出自粛がなくなったことで外傷や審美面での腫瘍切除希望が増加したことで形成外科分野の広い範囲の診療も行えております。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010060xx99x20x | 脳梗塞 | 29 | 22.03 | 16.94 | 48.28 | 72.28 | |
010040x099000x | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) | 17 | 17.12 | 18.68 | 35.29 | 72.88 | |
160100xx97x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 | 12 | 14.25 | 9.83 | 25 | 76.67 | |
010060xx99x40x | 脳梗塞 | – | – | – | – | – | |
010040x199x0xx | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) | – | – | – | – | – | |
010230xx99x00x | てんかん | – | – | – | – | – | |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 | – | – | – | – | – |
高齢者の脳梗塞、転倒による頭部外傷は増加傾向にあります。
(※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120180xx01xxxx | 胎児及び胎児付属物の異常 | 74 | 7.61 | 9.40 | 0 | 34.12 | |
120260x001xxxx | 分娩の異常(分娩時出血量2000ml未満) | 49 | 7.06 | 9.34 | 0 | 32.22 | |
12002xxx02xxxx | 子宮頸・体部の悪性腫瘍 | 30 | 3.07 | 2.92 | 0 | 46.37 | |
120070xx02xxxx | 卵巣の良性腫瘍 | 30 | 5.73 | 5.97 | 0 | 41.83 | |
120165xx99xxxx | 妊娠合併症等 | 27 | 8.56 | 10.29 | 0 | 31.56 |
胎児及び胎児付属器物の異常
最も多いのは骨盤位、既往帝王切開による帝王切開例です。
分娩の異常
胎児胎盤機能不全や微弱陣痛など、急速遂娩や緊急帝王切開術を施行した症例です。当院では、麻酔科・小児科などが協力して緊急手術に対応しております。
昨年度は、帝王切開術(選択・緊急)は143件の実施がありました。当科では24時間体制で緊急手術に対応、在院日数も全国より短くなっています。
子宮頚・体部の悪性腫瘍
日本では子宮体癌発生例が毎年増加傾向でそれに伴い手術症例も増加傾向にあります。
卵巣の良性腫瘍
卵巣に発生する良性腫瘍は罹患数も多く現在ではほぼ腹腔鏡下での手術が普及しています。
妊娠合併症等
妊娠糖尿病や甲状腺機能異常、精神疾患合併、妊娠高血圧症候群など妊娠経過をみながらこれらの疾患をコントロールしていく必要があります。
妊娠高血圧症候群関連疾患
妊娠中に血圧の上昇やタンパク尿、浮腫等の症状が増悪、子癇発作や胎盤早期剥離などの合併症を引き起こし早期に分娩対応を必要とします。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020110xx97xxx0 | 白内障、水晶体の疾患 | 224 | 2.01 | 2.49 | 0 | 72.47 | |
020250xx97xxxx | 結膜の障害 | 75 | 2.04 | 2.81 | 0 | 60.08 | |
020280xx97xxxx | 角膜の障害 | 27 | 10.33 | 8.78 | 0 | 70.48 | |
020110xx97xxx1 | 白内障、水晶体の疾患 | 16 | 3.06 | 4.29 | 6.25 | 73.56 | |
020280xx99xxxx | 角膜の障害 | 14 | 23.64 | 14.31 | 0 | 67.64 |
眼科の手術の多くは白内障手術であり、全症例の約7割を占めています。 白内障手術は原則として1泊2日の入院で行っておりますが、ご希望に応じて日帰り手術も可能です。また、局所麻酔での手術に不安が強い方や、手術中の安静保持が困難な方には、全身麻酔による2泊3日の入院手術にも対応しております。
当科は角膜・結膜など前眼部疾患に関して沖縄県の中核的施設として診療を行っており、特に角膜移植や難症例の翼状片手術を積極的に実施しています。 角膜移植は海外ドナー角膜・国内ドナー角膜のいずれにも対応しており、琉球大学病院をはじめ、沖縄本島や離島の総合病院、眼科クリニックから多くの患者様をご紹介いただき、診療を行っています。
さらに、県外から角膜診療の第一人者の先生を定期的に招聘し、ご協力とご指導をいただくことで、高度で専門性の高い角膜診療を提供できる体制を整えています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030240xx99xxxx | 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 | 49 | 5.76 | 5.63 | 0 | 36.86 | |
030340xxxxxxxx | 血管運動性鼻炎、アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー> | 30 | 4.6 | 5.12 | 0 | 35.7 | |
030350xxxxxxxx | 慢性副鼻腔炎 | 29 | 4.79 | 5.84 | 0 | 51.72 | |
030428xxxxx0xx | 突発性難聴 | 29 | 7.24 | 8.21 | 0 | 54.79 | |
030390xx99xxxx | 顔面神経障害 | 27 | 8.11 | 8.50 | 3.7 | 50.78 |
耳鼻咽喉科は、耳、鼻副鼻腔、咽頭・喉頭(音声・嚥下含む)、頭頸部(悪性腫瘍含む)におけるあらゆる疾患に対応すべく、大学病院からの各専門医師の外来も行い、連携して診療しております。
最も多い疾患としては、1番目で扁桃周囲膿瘍等の感染症でした。急性期疾患で早期の対応をしないと致死的となりうる疾患であり、できる限りスムーズな治療につながるように対応させて頂いているかと思います。その結果、近医よりご紹介頂けていると思われます。
2番目がアレルギー性鼻炎、3番目が慢性副鼻腔炎で、いずれも鼻のcommon diseaseです。手術加療を目的にご紹介頂いております。通常5日間の入院です。平均在院日数はアレルギー性鼻炎が4.6日、慢性副鼻腔炎が4.79日となっております。
4番目が特発性難聴で、こちらはステロイドをメインとした加療となり通常7日間、糖尿病のある方は血糖コントロールのためにさらに長期入院となりますが、糖尿病内科と連携し安全な加療を行っております。そのため、通常7日間の入院ですが、平均在院日数は7.24日となっております。
5番目が顔面神経障害です。こちらもステロイド薬が中心の加療で、安全性を考慮して入院加療しております。通常8日間の入院ですが、糖尿病の方がやや入院期間が延びるため、平均在院日数が8.11日となっております。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110420xx02xxxx | 水腎症等 | 35 | 7 | 4.07 | 2.86 | 83.94 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 20 | 22.55 | 13.66 | 10 | 73.5 | |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍 | 16 | 9.81 | 6.81 | 0 | 72.88 | |
110310xx01xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 16 | 19.19 | 13.58 | 0 | 79.63 | |
110280xx9900xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 10 | 33.6 | 11.35 | 0 | 68 |
泌尿器科入院患者数では、尿路感染症が最も多く、内訳として結石性腎盂腎炎の割合が高い。
治療として緊急の尿管ステント留置とその後の抗菌剤投与。 敗血症による血圧低下に対しては昇圧剤の投与等を行っている。膀胱腫瘍に対しては、経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行している。 膀胱癌、前立腺癌に対する初回抗癌剤治療の為の入院も数名おり、切除不能な腎癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の投与も行っている。 前立腺癌、腎癌、膀胱癌の末期癌の緩和治療目的の入院も数名いる。 前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術、陰嚢水腫根治術も数名いる。
当科は透析浄化部も担当しているため、透析患者の肺炎、脳梗塞等の入院にも対応している。
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 14 | – | – | 12 | – | 10 | 1 | 8 |
大腸癌 | 18 | 25 | 53 | 41 | 13 | 16 | 2 | 8 |
乳癌 | 45 | 41 | 11 | – | – | – | 1 | 8 |
肺癌 | – | – | – | 37 | 22 | – | 1 | 8 |
肝癌 | 10 | – | – | – | – | 37 | 2 | 8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
(項目説明)
5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんの人数を初発のUICC TNM分類、癌取扱規約の病期分類別、 および再発に分けて集計しています。
集計対象期間中に複数回入院された患者さんも複数回カウントしています。
◇UICC病期分類
国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって各癌をⅠ期~Ⅳ期の4病期(ステージ)に分類するものです。
◇癌取扱い規約病期分類
日本で編集されている規約で、臓器別に国内の学会や研究会によって編集され、20を超える癌取扱い規約があります。UICC同様、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって各癌をⅠ期~Ⅳ期の4病期(ステージ)に分類するものです。
●原発巣・・・癌が最初に発生した場所にある病巣
(解説)
当院は、日本がん治療認定医機構の認定研修施設として、がん予防・診断・治療に力を入れています。「初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数」から当院の初発件数を見ると、大腸癌が圧倒的に多く、次いで乳、肺、胃、肝癌の順となっています。
胃癌は、検診の普及や治療技術の進歩により死亡率が減少していますが、依然として罹患率の高い悪性腫瘍です。当院では、ステージⅠが最も多く、次いでステージⅢ、Ⅳとなっています。
がんが粘膜にとどまる早期癌であれば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により、胃を温存した治療が可能です。進行度に応じて手術や化学療法を選択し、患者さんの状態に合わせた治療を行います。腹腔鏡を用いた低侵襲手術を積極的に導入し、患者さんに優しい治療を提供しています。
大腸癌の発生率は、全国的に増加傾向にあり、当院でも大腸癌の症例が多くなっています。病期別ではステージⅢが多く、次いでステージⅣとなっており、初診時より進行癌と診断される患者さんが多いのが現状です。
早期診断・治療により根治が可能な疾患であることから、当院では「大腸癌早期発見プロジェクト」を立ち上げました。入院患者さんに便潜血の無料検査を実施し、大腸癌死亡率低下を目指しています。
当院は、2024年7月に手術支援ロボット「ダビンチ」を導入しました。従来の腹腔鏡手術と比較して、より精密で安全な手術を可能にします。3D高解像度カメラによる鮮明な機器操作により、出血量の減少や術後回復の早期化が期待できます。適応術式を順次拡大し、負担の少ない治療に取り組んでいます。
乳癌は、女性のがんの中でも罹患率が高く、当院も同様で増加傾向にあります。当院では、ステージⅠが最も多く、乳癌検診の推奨と受診率向上による成果と考えられます。
各ステージや癌の種類、個々の状況に応じて、手術療法・化学療法・ホルモン療法を組合せた治療を行います。当院では、乳房再建を行う形成外科医が常勤しており、乳輪・乳頭形成術にも対応可能です。また、乳癌看護認定看護師による、リンパ浮腫予防や心理的サポート、セルフケアの支援を行い患者さんに寄り添った医療を実践しています。
肺癌は、国立がん研究センターの死亡数データによると、2023年の悪性腫瘍死亡率で男女計1位となっており、難治性の高いがんといえます。
当院では、ステージⅣが最も多く、次いで不明の患者さんが多くなっています。不明が多い理由は、治療前の検査入院や他施設へ紹介となるケースが挙げられます。
当院では、呼吸器内科医師による化学療法が主体となり、手術・放射線治療が必要な患者さんは、肺癌専門医療機関と連携し対応しています。
肝癌は、以前はウイルス感染が主な原因でした。近年ではアルコール性肝障害や脂肪性肝疾患を背景とした肝癌が増加傾向にあります。
当院では転移のないステージⅠが最も多く、次いでステージⅡです。当院は、肝臓内科を標榜し県全域から紹介を受け、早期癌から進行癌まで幅広く対応しています。RFA(ラジオ波焼灼療法)、TACE(肝動脈化学塞栓術)、肝切除術、化学療法など、進行度に応じた最適な治療を提供しています。肝癌は、治療後に再発することが多く、当院でも肝癌初回治療後の再発として、入院治療される方の割合が多くなっています。
当院では、5大癌以外についても、各診療科が連携し患者さんにとって最善の医療を提供しています。がん治療の充実を図るため、外来化学療法室(通院治療室)を整備し、医師・看護師・薬剤師と共に治療、副作用の対策を行い、安全で快適な環境で日帰りの抗がん剤治療を提供しています。
また、歯科口腔外科との連携により、手術・化学療法による合併症の抑制に努めています。多職種で構成される緩和ケアチームがあり、患者さんの苦痛を和らげる活動も行っています。
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 62 | 10.06 | 52.13 |
中等症 | 211 | 13.11 | 77.57 |
重症 | 41 | 27.83 | 81.37 |
超重症 | 15 | 30.27 | 85.4 |
不明 | – | – | – |
【解説】
成人市中肺炎の総数は昨年度の215件から329件へ増加していました。超重症の数は5件から15件へ3倍以上増加しており、高齢者の超重症肺炎が多い年度でした。重症度別患者数では中等症が64%と最も多く、平均在院日数は13.1日で昨年度より1.1日短くなりました。例年同様に軽症の平均年齢は低く、平均在院日数は10.0日となっています。重症の平均年齢は81.4才と高齢であり、在院日数も長期になっています。
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 115 | 21.43 | 77.1 | 35.94 |
その他 | 13 | 21.54 | 76.77 | 5.47 |
脳梗塞の病型別の症例数、症例割合、発症日から3日以内・その他、平均在院日数、 平均年齢、転院率を集計しました。 ○ICD‐10コード 「疾病及び関連保険問題の国際頭頚分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems」の略称で、死因や疾病の国際的な統計基準として、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した分類です。 現在の最新版は国際疾病統計分類 第10回修正(ICD‐10)が採択されています。 ○平均在院日数 病院に入院していた日数(在院日数)の平均値です。 ○転院率 該当する症例数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)することとなった患者さんの割合。 (解説) 「脳梗塞」と診断された患者さんの約9割の症例が発症3日以内でした。 当院では脳梗塞における入院後早期リハビリを実施しております。 また、脳梗塞発症から短時間での t-PA治療等も行っております。 脳卒中地域連携パスも運用しており、地域の回復期病院や開業医と連携を行っております。
(項目説明)
症例数の多い手術件数を各診療科別に集計した上位5つを掲載しています。 (定義)
手術術式の点数表コード(Kコード)による集計とし、輸血関連(K920$)や創傷処理などの軽微な手術、加算等は除外としています。
指標に示されるそれぞれの用語は以下の通りです。
・Kコード
以下点数表で定められた、手術術式の点数表コードです。
・平均術前日数
入院日から手術日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。
・平均術後日数
手術日から退院日までの日数の平均です。手術日当日は含まれません。
・転院率
該当する症例数の内、当院から他の病院に移動して継続入院(転院)する こととなった患者さんの割合です。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) | 420 | 0.1 | 1.04 | 0 | 65.68 | |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 108 | 2.36 | 7.6 | 2.78 | 77.69 | |
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) | 49 | 2.9 | 3.8 | 4.08 | 72.55 | |
K616 | 四肢の血管拡張術・血栓除去術 | 39 | 1 | 1.26 | 0 | 78.28 | |
K708-3 | 内視鏡的膵管ステント留置術 | 27 | 2.63 | 12.56 | 18.52 | 72.81 |
内科の手術としては、消化器科、循環器科が主に行っております。 消化器内科では、大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除がもっとも多くなっております。 術後は経過観察目的で一泊入院で行っておりますが、ほとんどの症例で合併もなく、手術翌日に退院されております。 消化器内科で次に多いのは、総胆管結石や閉塞性黄疸の治療のために行う内視鏡的胆道ステント留置術、膵炎の膵石の患者さんに行う内視鏡的膵管ステント留置術です。 当院では肝硬変症も多く診ており、内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術も多くなっています。
循環器内科では、心筋梗塞、狭心症に対する経皮的冠動脈形成術を行っており、症例数も増加、ECMO、IABPを導入しより重症の患者さんも診ております。また、糖尿病、透析の患者さんに多い、閉塞性動脈硬化症に対するEVTを積極的に行い、症例数も年々増加しております。沖縄では歩く習慣があまりなく、発見されるときには重症の末梢血管病変となっていることが多く、今後は早期発見の啓蒙活動が必要と考えております。
当院産科の分娩件数の増加に伴い、新生児仮死への蘇生件数も増加しています。
また、他科入院での手術症例も、小児の場合は術前診察など協力を行っています。件数は少ないですが、小児外科や外科のバックアップのもと非観血的腸重積症整復術を小児科で施行しています。小児の皮膚感染症も当科で管理していますが、必要時は外科や形成外科にコンサルトし、皮膚切開術が施行されることがあります。乳幼児の耳鼻咽喉科関連の感染症の入院も小児科で管理しますが、必要時は耳鼻咽喉科にコンサルトし鼓膜切開術が施行されることがあります。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 122 | 1.43 | 4.93 | 2.46 | 62.31 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 86 | 0.99 | 1.76 | 0 | 64.49 | |
K4762 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)) | 49 | 1.08 | 2.45 | 0 | 59.86 | |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 42 | 0.45 | 3.36 | 0 | 39.69 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 37 | 2.81 | 14.86 | 0 | 70.95 |
手術を要する疾患で入院した患者様の術式で多い順に、腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、乳腺悪性腫瘍手術、腹腔鏡下虫垂切除術、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術、となっています。近年では大腸癌や乳癌の症例が増加傾向にあります。胃癌や大腸癌など悪性疾患に対する腹腔鏡手術は進行度に応じて適応としています。一方、良性疾患には可能な限り腹腔鏡手術を行なうようにしており、ヘルニアや胆嚢摘出術、虫垂切除術はほとんど腹腔鏡手術です。結果として、術後平均在院日数が腹腔鏡下胆嚢摘出術では4.93日、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術では術後在院日数が1.76日、乳腺悪性腫瘍手術で2.45日、腹腔鏡下虫垂切除術では3.36日、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術で14.86日と良好な成績となっています。乳癌ではセンチネルリンパ節生検を用いた乳房温存療法を行なっているだけでなく、形成外科の協力のもと乳房再建も行っています。また、痔核手術は切らないくても良い手術(ジオン硬化療法)で行われることが
多く、ほぼすべての患者様が日帰り手術となっています。食道アカラシアという比較的まれな疾患に対しては、POEMという内視鏡手術を行なっています。
このように各領域の疾患に対して、安全性と根治性を重視した上で、低侵襲手術(傷の小さい、体に負担が少ない手術)を追求しています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0821 | 人工関節置換術(股) | 178 | 1.33 | 19.11 | 14.61 | 71.27 | |
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 110 | 2.72 | 21.88 | 77.27 | 78.57 | |
K1426 | 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓形成) | 90 | 2.14 | 14.03 | 15.56 | 71.5 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 64 | 1.69 | 5.58 | 12.5 | 62.22 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む。)除去術(前腕) | 60 | 0.97 | 1.55 | 0 | 53.18 |
2024年度整形外科手術件数は1612件でした。変形性関節症による関節痛に苦しみ手術を希望される方が多く、安定した成績が得られる人工関節置換術は1位でした。ロコモティブ・シンドロームによる高齢者の骨折の影響もあり髄内釘やプレートを使用し骨折部の骨接合を行う大腿骨観血的手術が2位でした。
また、2024年度より脊椎専門外来枠を増やし脊椎脊髄疾患に対する脊椎固定術・椎弓形成術が増加しました。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K333 | 鼻骨骨折整復固定術 | 19 | 1 | 1 | 0 | 27.32 | |
K753 | 毛巣洞手術 | 18 | 1 | 6.06 | 0 | 32.67 | |
K0051 | 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2センチメートル未満) | 17 | 0.47 | 1.47 | 0 | 39.29 | |
K0433 | 骨掻爬術(足その他) | 12 | 3.42 | 24.58 | 0 | 68.67 | |
K6121ロ | 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(静脈転位を伴うもの) | 11 | 0.09 | 1 | 0 | 68.36 |
当科常勤医が一人となり、全体の件数は減少しましたが、昨年より増加しております。2019年から足と傷のセンターを立ち上げ、主に下肢難治性潰瘍を始めとした慢性創傷に対する治療を行っております。また、顔面骨骨折手術や皮膚腫瘍の切除、毛巣洞手術も増加しており、下肢難治性潰瘍のみならず形成外科分野の広い範囲を診療しています。
現在一人体制のため、対応できる手術症例は限られております。
当院で対応困難な症例につきましては連携している病院へ早期搬送しております。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8981 | 帝王切開術(緊急帝王切開) | 75 | 0.88 | 5.85 | 0 | 32.67 | |
K8982 | 帝王切開術(選択帝王切開) | 65 | 1.38 | 5.8 | 0 | 34.48 | |
K861 | 子宮内膜掻爬術 | 33 | 0.03 | 0.09 | 0 | 54.27 | |
K867 | 子宮頸部(腟部)切除術 | 32 | 1.06 | 1 | 0 | 46.63 | |
K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) | 32 | 1.06 | 3.66 | 0 | 41.69 |
1、2番目に多い手術症例は既往帝王切開や骨盤位で予定を決めて行う選択帝王切開と分娩中の胎児機能不全や分娩停止による緊急帝王切開です。当科では24時間体制で対応しています。
子宮付属器腫瘍手術は主に卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術で腫瘍部分のみ核出し、また切開創部が数㎜と小さいため術後の疼痛が緩和され社会復帰も早いのがメリットです。
子宮内膜掻爬術は子宮内膜細胞、組織の異常、悪性疑いの場合に施行される手術です。子宮体癌の増加により増加傾向です。
子宮頚部切除術は頸部前癌病変や初期癌の診断、治療を兼ねた手術です。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) | 234 | 0.11 | 0.99 | 0.43 | 72.39 | |
K224 | 翼状片手術(弁の移植を要するもの) | 74 | 0.07 | 0.97 | 0 | 59.86 | |
K259 | 角膜移植術 | 24 | 1.29 | 8.17 | 0 | 68.96 | |
K2822 | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない場合) | – | – | – | – | – | |
K279 | 硝子体切除術 | – | – | – | – | – |
眼科の手術の多くは白内障手術であり、全症例の約7割を占めています。 白内障手術は原則として1泊2日の入院で行っておりますが、ご希望に応じて日帰り手術も可能です。また、局所麻酔での手術に不安が強い方や、手術中の安静保持が困難な方には、全身麻酔による2泊3日の入院手術にも対応しております。
当科は角膜・結膜など前眼部疾患に関して沖縄県の中核的施設として診療を行っており、特に角膜移植や難症例の翼状片手術を積極的に実施しています。 角膜移植は海外ドナー角膜・国内ドナー角膜のいずれにも対応しており、琉球大学病院をはじめ、沖縄本島や離島の総合病院、眼科クリニックから多くの患者様をご紹介いただき、診療を行っています。
さらに、県外から角膜診療の第一人者の先生を定期的に招聘し、ご協力とご指導をいただくことで、高度で専門性の高い角膜診療を提供できる体制を整えています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | 口蓋扁桃手術(摘出) | 43 | 1 | 5.77 | 0 | 38.74 | |
K344 | 経鼻腔的翼突管神経切除術 | 24 | 1.21 | 2.33 | 0 | 38.96 | |
K3191 | 鼓室形成手術(耳小骨温存術) | 17 | 1 | 4.59 | 0 | 33.94 | |
K340-5 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) | 16 | 1 | 2.5 | 0 | 50.94 | |
K309 | 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 | 14 | 0 | 0 | 0 | 4.07 |
耳鼻咽喉科では、口蓋扁桃摘出術の手術件数が最も多くなっております。慢性扁桃炎や睡眠時無呼吸症候群、IgA腎症等の扁桃病巣感染症の方に手術適応があります。小児も対応しており、ご紹介も増加傾向です。通常1週間程度の入院期間ですが、術後出血のリスクがあるため退院後も安静度や食事に制限を伴います。
経鼻腔的翼突管神経切除術や内視鏡下鼻・副鼻腔手術といった鼻科手術は3-5日間の入院で、近医よりご信頼頂き徐々に紹介数が増えていると感じております。
鼓室形成術(耳小骨温存術及び耳小骨再建術)は、私が耳科手術を専門としているため、昨年同様に近隣施設よりご紹介頂けていると考えております。小児~成人例まで慢性中耳炎や真珠腫等対応しております。
最後に鼓膜チューブ挿入術で、これは日帰り入院手術が可能となったことでご紹介が増えてきております。
当院では、耳科手術、鼻副鼻腔手術を中心に、頭頸部腫瘍も良性~悪性まで大学病院と連携して対応可能となっております。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用 パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 58 | 2.71 | 7.24 | 3.45 | 82.79 | |
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) | 16 | 1.94 | 9.69 | 0 | 72.88 | |
K7981 | 膀胱異物摘出術(経尿道的手術) | – | – | – | – | – | |
K616-41 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | – | – | – | – | – | |
K8411 | 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用のもの) | – | – | – | – | – |
当院手術例最多は尿管ステント留置術である。 これは、結石性腎盂腎炎に対する緊急尿管ステント留置術と尿管狭窄症に対する4ないし6か月ごとの定期の尿管ステント交換を含んでいる。
経尿道的膀胱腫瘍切除術、経尿道的前立腺切除が続いている。 経尿道的尿路結石破砕術は、ピンハンマーやレーザーで破砕している。経尿道的前立腺つり上げ術は、前立腺肥大症に対して実施している。 当院では、肥大している前立腺の4から6か所に水蒸気を9秒ずつ注入する水蒸気治療として行っている。 主に尿閉のためカテーテル留置中の高齢者に行っている。
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 27 | 0.31 |
異なる | 20 | 0.23 | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 29 | 0.33 |
異なる | – | – |
(項目説明) 最も医療資源を投入した傷病名が播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症の患者数を症例数とカウントし、全入院患者に対する発症率も同時に掲載した。 発症率はそれぞれの患者数÷全入院患者数×100とし、少数第2位までを表示している。 ・指標に示されるそれぞれの用語説明 ○DPCコード 病名や医療行為等を数字やxを用いて14桁で表示されるコードのこと。ここでは14桁のうち、病名となる上から6桁を表示しています。したがって、医療行為等は含まれていません。 ○播種性血管内凝固症候群 感染症などによって起こる、全身性の重症な病態です。 ○敗血症 感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。 ○真菌症 真菌による感染症です。 ○手術・処置などの合併症 手術や処置などに一定の割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが挙げられます。合併症は、どのような術式でもどのような患者さんでも、一定の確率で起こり得るものなので、医療ミスとは異なります。 ○入院契機 DPCコードにて分類される主病名とは別に、入院のきっかけとなった病名(入院契機病名)がそれぞれの患者さんにつけられます。 ○発生率 全入院患者さんのうち、該当の病気で発症した患者さんの割合です。 【解説】 厚生労働省による令和5年度のDPC 対象病院の全国平均では、(上から)「播種性血管内凝固症候群」が 0.14%、「敗血症」が0.55%、「その他の真菌感染症」が0.04%、「手術・処置等の合併症」が0.51%でした。 当院の数値は、「播種性血管内凝固症候群」、「敗血症」、「その他の真菌感染症」、「手術・処置等の合併症」、すべて全国平均より下回っています。 (※症例数が10件未満のものについては、-と記載しております)
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが 「中」以上の手術を施行した 退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の手術を 施行した患者の肺血栓塞栓症の 予防対策の実施率 |
---|---|---|
1,240 | 1,124 | 90.65 |
肺血栓塞栓症は突然死を引き起こす可能性のある極めて重篤な疾患で、しばしば大きな手術後や長期臥床の際に起こります。この予防方法には弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置の使用、抗凝固薬療法があり、リスクレベルに応じて単独あるいは併用が推奨されています。周術期の肺血栓塞栓症の予防行為の実施は、急性肺血栓塞栓症の発生率を下げることにつながると考えられます。当院では手術や疾患による危険因子を加味し、適切な予防法を考慮し実施しています。
血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
---|---|---|
3,880 | 3,564 | 91.86 |
血液培養(血培)の2セット実施を推奨する理由として、以下の2つがあげられます。
①起炎菌の検出率向上。(1セットで73.1%の検出率が、2セットで89.7%まで向上すると報告がある。)
②汚染菌判定の参考になる。(2セット中1セットからブドウ球菌など皮膚常在菌が検出された場合、感染症の起炎菌ではない汚染菌と判定できる。)
1セットのみ血培が提出され汚染菌の判定が困難となった場合、不要な抗菌薬の投与や医療費の増大、入院期間の延長を招く可能性がある。
当院ASTでは血培2セット実施の啓蒙活動として、血培マニュアルの改訂(輸液中や採取困難時の対応など追加)や、1セットのみ提出事例の介入、毎月の感染対策小委員会で月毎の血培2セット実施率を報告し、2セット実施する理由も繰り返し伝達を行いました。
こういった活動の成果として、血培2セット実施率90%以上という結果が継続していると考えます。
広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日 までの間に細菌培養同定検査が 実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
---|---|---|
309 | 274 | 88.67 |
感染症診療の基本の1つとして抗菌薬投与時の適切な細菌培養実施がありますが、これを怠り抗菌薬を投与すると病態が複雑化し、感染症の起炎菌を特定することが困難となります。そうなると最適な抗菌薬を選ぶことができず、患者の予後に影響したり薬剤耐性菌を選択するリスクが発生したりします。
当院では広域抗菌薬を使用する際に医師は届出票を記載し、ASTは届出票を確認した時点で患者のモニタリングを行うようにしていますが、その際に適切な培養が未実施であれば主治医へ培養を実施するように介入しています。
また、毎年行ってる感染対策講習会でも適切な培養実施を含めた抗菌薬適正使用の啓蒙活動を行っています。
こういった活動を継続することで各診療科の医師に理解と協力が得られるようになり、良好な培養実施率が継続できていると考えます。
退院患者の在院日数の総和(分母) | 退院患者に発生した転倒・転落件数(分子) | 転倒・転落発生率(‰) |
---|---|---|
90,096 | 186 | 2.06 |
日本病院会から報告されるクリニカル・インディケーター(CQI)での2.80%台と比較すると、当院の2.06%は転倒予防対策として評価できていると考える。また、転倒・転落に関するインシデント報告では、検査や治療を必要としないレベル2a以下が多数を占めており、入院時のリスク評価やセンサーベッドの導入などの事前対策が寄与していると考える。
退院患者の在院日数の総和(分母) | 退院患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落の発生件数 | 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率(‰) |
---|---|---|
90,096 | 5 | 0.06 |
要因としは、入院後まもない時期や術後によるADLの変化によるものが挙げられる。また、発生場所はトイレからベッドへもどる場面が大半を占めていることから、ベッド離床による転倒転落リスクへの対応はできていたが、トイレ誘導後の対応が不十分であったことが挙げられた。
全身麻酔手術で、予防的抗菌薬投与が実施された手術件数)(分母) | 分母のうち、手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数(分子) | 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率(%) |
---|---|---|
1,818 | 1,572 | 86.47 |
予防的抗菌薬の目的は、手術部位感染の発生を抑えることとされています。
予防的抗菌薬の投与のタイミングや投与量などを適切に行うことで、術中汚染による細菌量を宿主防御機構でコントロールできるレベルまで下げることができます。
投与のタイミングについては、手術が始まる時点で十分な殺菌作用を示す血中濃度、組織中濃度が必要であり、切開の1時間以内に投与を開始することが求められています。
当院ASTでは、毎月各診療科ごとに「手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率」を集計し、必要に応じて手術室や各診療科の医師に介入を行っております。
こういった活動について理解と協力が得られることで、良好な投与率が得られるようになっていると考えます。
退院患者の在院日数の総和(分母) | 褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡)の発生患者数(分子) | d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率(%) |
---|---|---|
81,819 | 149 | 0.18 |
要因としては、高齢患者数の増加、高齢化に伴うADLや日常生活自立度の低下が挙げられる。また、自重による褥瘡以外のMDRPU(医療関連機器圧迫創傷)も多数含まれており、術後患者や重症症例患者など高齢患者以外の発生もみられる現状にある。体圧分散マットレスの使用やスキンケアの実施など褥瘡予防対策の徹底を行い、MDRPU含め褥瘡の発生防止に努めていく。
65歳以上の退院患者数(分母) | 分母のうち、入院後48時間以内に栄養アセスメントが実施された患者数(分子) | 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合(%) |
---|---|---|
4,629 | 4,378 | 94.58 |
当院では全ての病棟に管理栄養士を配置しており、多職種連携で栄養サポートを実施しています。早期に低栄養リスクを評価し適切な介入をすることで、在院日数の短縮、予後改善につなげています。
退院患者の在院日数の総和(分母) | 分母のうち、身体的拘束日数の総和(分子) | 身体的拘束の実施率(%) |
---|---|---|
90,096 | 13,148 | 14.59 |
当院では、医療の質指標の一つである「身体抑制低減」に重点的に取り組んでいます。抑制低減を推進するためにチームを立ち上げ、多職種が協働して活動を展開しています。医療安全部門や、入退院支援部門と連携し、患者家族に寄り添ったケアの実現を目指しています。今後も、抑制の低減に限らず、患者さんの尊厳と安全を守る観点から継続的に質指標の改善に取り組んでまいります。
- 2025年9月30日
- 令和6年度病院情報を公開しました。
令和6年6月1日~令和7年5月31日)に当院を退院された患者さんを10歳刻みの年齢階級別に集計しました。年齢は入院日の満年齢となります。
(解説)
当院は「わたしたちは心と心を結ぶ信頼される医療をめざします」を理念とし、地域医療支援病院として沖縄県中南部東海岸の中核病院として質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。当院の入院患者さんは60歳代から80歳代が多く、60歳代以上の患者さんが全体の約61.7%を占めています。昨年度の退院患者数は7,988名でした。755名の退院患者数増となっています。