ありんくりん Vol.12 「シックデイの自宅療養」
シックデイの自宅療養
著・編 ハートライフクリニック糖尿病内科スタッフ一同
監修 小原 正也(糖尿病専門医)
シックデイ(体調の悪い日)の対応
シックデイとは
風邪などの感染症で食事が摂れない体調の悪い日をシックデイと言います。糖尿病の方は、シックデイの時は普段より血糖コントロールが難しくなるため、気をつけなければいけません。
主な症状
風邪
嘔吐
発熱
下痢
抜歯
コロナ感染
シックデイの対応
温かくして安静に!
温かくして安静にすることは、どんな病気でも大切です。体力の消耗を防ぎ、回復を早めます。
5つのポイントを確認!
1.食事
食事は摂れているか?
2.体温
38.5℃以上の熱が持続して いないか?
3.体重
体重の増減はないか?
4.血圧
血圧計ある方は測定
5.血糖値
血糖測定器ある方は測定
☆シックデイの時の食事についてはこちらを
☆インスリン注射をしている方や血糖降下薬服用の方はこちらを確認してください。
食事と水分
食欲がなくても食事を抜くことは避けましょう。普段通り食べなくてもいいので、食べられるものを口にしましょう。※全く食事も水分も受け付けなくなったら、かかりつけ医にご相談ください。
水分は少なくとも 一日一リットル以上
糖質を含まない水も併せてとりましょう
エネルギー補給に欠かせない栄養素
体力・抵抗力の維持に必要な栄養素
体力・抵抗力の維持に必要な栄養素
シックデイ時の血糖測定について
体調不良時には血糖が不安定になります。
血糖が上昇する状況は
- ストレス
- コロナ肺炎
- イスリン忘れ
- 食べすぎ飲みすぎ
- 発熱時
- 注射や点滴
- 内服忘れ
低血糖がおこる状況は
- 食べられない
- インスリン打ちすぎ
- 動きすぎ
シックディには食前と眠前に血糖測定しましょう。食べれなくても高血糖の時もあります。
シックディ時の薬の調節をしても低血糖や高血糖が起こるときは病院に連絡しましょう。
低血糖は70以下
高血糖は400以上
シックデイ管理 簡易版
経口血糖降下薬
糖尿病の内服薬 | 食事摂取量 0-3割 | 食事摂取量 4-6割 | 食事摂取量 7-10割 |
---|---|---|---|
SU薬 | 中止 | 半分 | 内服 |
グリニド ※食後内服へ | 中止 | 半分 | 内服 |
*ビグアナイド | 中止 | 中止 | 中止 |
*SGLT2阻害薬 | 中止 | 中止 | 中止 |
*α-GI ※食後内服へ | 中止 | 内服 | 内服 |
DPP4阻害薬 | 中止 | 内服 | 内服 |
チアゾリジン | 中止 | 内服 | 内服 |
※配合剤内服錠はシックデイリスクの高いものを優先して対応してください。
※消化器症状(嘔吐、下痢)時には、*印の薬は、中止してください。
インスリン管理
●持効型インスリン;食事に関係なく施注する。
●(超)速効型インスリン固定打ち;食思不振時は食前から食後打ち。
固定量+スケール量を打つ
固定量について
食事摂取量 0-3割 | 食事摂取量 4-6割 | 食事摂取量 7-10割 | |
---|---|---|---|
(超)速効型インスリン | 0単位へ | 半量 | 全量 |
スケール量について
血糖値 | (超)速効型インスリン |
---|---|
0~70mg/dl | ;-4単位 |
70~99 mg/dl | ;-2単位 |
100~199 mg/dl | ; + 0単位 |
200~299 mg/dl | ;+1単位 |
300~399 mg/dl | ;+2単位 |
400~499 mg/dl | ;+3単位 |
500mg/dl~ | ;+4単位 病院へCall |
GLP1受容体刺激薬の注射 シックデイ時には中止
シックデイ管理 詳細版
◆糖尿病の内服薬◆ | 食事摂取量 0-3割 | 食事摂取量 4-6割 | 食事摂取量 7-10割 |
---|---|---|---|
SU薬 | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
アマリール(グリミクロン) | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
グリミクロン(グリクラジド) | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
オイグルコン(グリベンクラミド) | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
グリニド ※食後内服へ | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
スターシス | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
ファスティック | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
シュアポスト | 中止! | 薬も半分 | 内服 |
ビグアナイド | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
メトグルコ(メトホルミン) | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
ビグアナイド+DPP4阻害薬 | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
イニシンク | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
エクメット | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
メトアナ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
ビグアナイド+ピオグリタゾン | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
メタクト | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
ビグアナイド+SGLT2阻害薬 | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
カナリア | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
スージャヌ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
トラディアンス | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
SGLT2阻害薬 | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
アプルウェイ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
カナグル | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
ジャディアンス | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
スーグラ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
フォシーガ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
ルセフィ | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! | 食事に関係なく中止! |
GLP1受容体作動薬 | 中止! | 中止! | 中止! |
リベルサス | 中止! | 中止! | 中止! |
糖尿病の内服薬 | 食事摂取量 0-4割 半分未満 | 食事摂取量 5-10割 半分以上 |
---|---|---|
αGI ※食後内服へ | 中止! | 内服 |
セイブル(ミグリトール) | 中止! | 内服 |
ベイスン(ボグリボース) | 中止! | 内服 |
グルコバイ(アカルボース) | 中止! | 内服 |
グリニド+αGI ※食後内服へ | 中止! | 内服 |
グルベス | 中止! | 内服 |
DPP4阻害薬 | 中止! | 内服 |
エクア | 中止! | 内服 |
オングリザ | 中止! | 内服 |
グラクティブ | 中止! | 内服 |
ジャヌビア | 中止! | 内服 |
スイニー | 中止! | 内服 |
テネリア | 中止! | 内服 |
トラゼンタ | 中止! | 内服 |
ザファテック(週1製剤) | 中止! | 内服 |
マリゼブ(週1製剤) | 中止! | 内服 |
チアゾリジン | 中止! | 内服 |
アクトス(ピオグリタゾン) | 中止! | 内服 |
SU+チアゾリジン | 中止! | 内服 |
ソニアス | 中止! | 内服 |
インスリン管理
●持効型インスリン;食事に関係なく施注する。
・持効型インスリン:レベミル、グラルギン、トレシーバ、ランタスXR
●(超)速効型インスリン固定打ち;食思不振時は食前から食後打ちとする。
・超速効型インスリン:ヒューマログ(リスプロ)、ノボラピッド(アスパルト)、アピドラ、フィアスプ、ルムジェブ
(超)速攻型インスリン施注量: 固定量+スケール量を打つ
固定量について
食事摂取量 0-3割 | 食事摂取量 4-6割 | 食事摂取量 7-10割 | |
(超)速効型インスリン | 0単位へ | いつもの 半分 | いつもの量 |
スケール量について
0単位以下になる場合はスケールは打たない!
血糖値 | (超)速効型インスリン |
0~70mg/dl | ;-2単位 |
70~99 mg/dl | ;-1単位 |
100~199 mg/dl | ;0単位へ |
200~299 mg/dl | ;+1単位 |
300~399 mg/dl | ;+2単位 |
400~499 mg/dl | ;+3単位 |
500mg/dl~ | ;+4単位 病院へ電話 |
※インスリンmix製剤は速攻型インスリンとして使用してください。
GLP1受容体刺激薬の注射
シックデイ時には中止する。
・GLP1受容体刺激薬
毎日打ち;ビクトーザ、バイエッタ、リキスミア
週1打ち;トルリシティ、オゼンピック
配合剤;ゾルトファイ、ソリクア
※ゾルトファイ、ソリクアは持効型インスリンを配合するのでなるべく打つ