ありんくりん Vol.6 「看護師よりこれだけは知ってほしい」
看護師よりこれだけは知ってほしい
監修:糖尿病専門医 小原 正也
低血糖になったら
看護師 松堂
糖尿病で薬による治療を受けている人では、薬の影響で血糖値が下がりすぎることがあります。低血糖がおこるのはほとんどが、糖尿病の治療によるものですが、まれに他の理由で起こることもあります。
低血糖の原因として
- 薬やインスリンの量が多すぎた。
- 普段と食事の時間や量が違った時。
- 炭水化物の量が少なかった時。
- 運動量が多すぎる、空腹時の激しい運動を行なった。
- 飲酒や入浴。
- 生活習慣が改善されお薬の効果がよく出ているなどがあります。
対処方法
- 低血糖と感じたら、すぐにブドウ糖10g または、砂糖20gを摂って下さい。
- ブドウ糖を多く含む清涼飲料水100~200ml を摂取する。15分以上たっても低血糖症状が治まらない場合は摂取量を増やします。
- 食事の時間であれば、食事を摂る。食事までに1時間以上ある場合は、80kcal程度の炭水化物を摂る。
- 運転中に低血糖が起こったら安全な場所へ停車。ブドウ糖を補給し、回復後も念のため30分は運転を控えますしょう。身近な人や家族にも低血糖について知ってもらい、常に糖尿連携手帳もしくは糖尿病カードを携帯しておけば、もしもの時も対処してもらいやすくなります。
低血糖を繰り返すと、気づく力が鈍くなり、重症低血糖になる可能性が高まりますので、低血糖を繰り返す場合はかかりつけ医に電話相談か、 早めの受診をして下さい
シックデイについて
看護師 喜友名
糖尿病の方が、発熱や嘔吐・下痢をきたし食欲不振になり、食事ができなくなることを『シックデイ』といいます。シックデイの時は、血糖コントロールが良い方であっても、血糖コントロールが乱れやすく、正しい対処方法を身に着けることが必要です。
シックデイを起こす可能性のある症状
- 安静と保温に努めましょう。(体温・血圧・血糖値測定・食事量のチェック)
- 水やお茶などで水分摂取を心がけ脱水を防ぎましょう。
- 食欲がなくても、お粥・果物・うどん・野菜スープなど炭水化物を補給しましょう。
- インスリン治療中の方は、自己判断でインスリンを 中止しないようにしましょう。
- 経口血糖下降薬またはGLP-1受容体作動薬は種類や食事摂取量に応じて減量・中止します。
医療機関への受診が必要な症状
※シックデイの際のインスリン注射や、内服薬の指示を医師に確認しておきましょう!
糖尿病と足の関係
看護師 島袋
血糖値のコントロールが上手くいかない期間が長く続くと神経障害や血流障害が起こりやすくなり足に色々な異常が出てくることがあります。
•足の感覚が鈍くなりケガをしても
•気付きにくくなります
•足の細胞に酸素や栄養がいきわたりにくくなり怪我が治りにくくなります
•小さな傷に気づきにくく重症化することがあります
・靴擦れや深爪などから化膿しやすくなります
足をいつ見ますか?
- 外出から帰って靴下を脱いだ時(靴下や靴の中も観察しましょう。小石・血液付着等)
- 運動の前や運動の後
- お風呂に入った時
- 爪を切るとき(指間のふやけ)
眼科受診のすすめ 糖尿病網膜症って知っていますか。
看護師 玉那覇
網膜症とは網膜(カメラのフイルムの役目をする)の中にある細かい血管が高血糖のため、傷んでしまった結果起こります。血糖コントロールを放置して7~8年たつと、じわりじわりと症状出てきて、失明することもあります。症状がないので定期的に眼科受診することを勧めます。
合併症からあなたの目を守るには
☆血糖コントロールをよくする。
☆定期的に眼科を受診すること。この二つが大切です。
定期的に眼科を受診しましょう。
網膜症のない人・・・・・・・・・・・・・・・・・1年に1回
単純網膜症の人・・・・・・・・・・・・・・・・・6か月に1回
前増殖網膜症の人・・・・・・・・・・・・・・・2か月に1回
増殖網膜症の人・・・・・・・・・・・・・・・・・1か月に1回
☆増殖停止網膜症の人・・・・・・・・・・・・・・3~6か月に1回
☆網膜光凝固又は硝子体手術により鎮静化した網膜症病期重症度によって間隔は異なります。眼科医へ確認してください。
糖尿病連携手帳について知ろう
看護師 屋我
①ご自身での情報管理や経過観察ができ、自己管理のために活用します。
②他の医療機関を受診するときの情報共有が可能となります。
合併症などの身体状況・かかりつけ医・緊急連絡先などが一目で分かるようになってます。受診で検査を行った際には検査結果や合併症関連検査に結果を書き込んでいきましょう。
年に1度は健診をうけましょう!
看護師 久髙
糖尿病患者の死因第1位 悪性新生物(がん)
もっとも多かったのが
1 肺がん 2 肝臓がん 3 膵臓がん
糖尿病患者のがんリスクが高まる理由
〇血液中のインスリン濃度が高いこと
2型糖尿病がある方の多くは、インスリンが効きにくくなっているために血液のインスリン濃度が高くなっています。血液中の過剰なインスリンは発がんに関与する可能性があると考えられています。ただし、インスリン注射により発がんが増える報告はありません。
〇血糖値が高いこと
高血糖による酸化ストレスなどが、発がんに関係する可能性があるといわれています。
〇炎症
2型糖尿病がある方では、無症状ですが全身に慢性的な炎症がみられることがあります。慢性の炎症は、発がんのリスクになると考えられています。
がんは早期発見・早期治療
糖尿病で医療機関に通院しているから、がん検診は受けなくていいと考えている方がおられますが、通常の診療の中で、すべてのがんを発見することはできません。がん検診を定期的に受けることで早期発見することが重要です。
検診の種類 | 対象者 | 実施間隔 | 検査方法 |
胃 | 40歳以上の男女 | 年1回 | 胃部エックス線検査 |
子宮 | 20歳以上の女性 | 2年に1回 | 子宮頚部の細胞診 |
肺 | 40歳以上の男女 | 年1回 | 胸部レントゲン・喀痰検査 |
乳腺 | 40歳以上の女性 | 2年に1回 | 視診・触診マンモグラフィー検査 |
大腸 | 40歳以上の男女 | 年1回 | 便検査 |
受付よりご挨拶
クラーク 新垣
こんにちは。糖尿病内科で受付をしている新垣と申します。受付としてみなさんと接しながら、糖尿病という病気のこと、お薬のこと、食事や運動の大切さ、様々なことを学ばせて頂いています。
学んでいくなかで、糖尿病についてたくさんの情報があふれていました。たくさんの情報の中から何かご自身に合う情報が見つかるかもしれません。しかし、逆にご自身に合わない情報もあふれています。ご自身に合った情報を見分けることは難しいですが、そのお手伝いができるのが、私達、ハートライフクリニックの糖尿病内科です。
糖尿病は、ご自身のライフスタイルと合わせて、先生や看護師と相談しながら治療していくことが大切かと思います。私も微力ながら、そのお手伝いが出来たらと思います。どんな小さなことでも構いません。気になることがありましたら、受付まで声を掛けて下さい。一緒に「糖尿病」とお付き合いしていきましょう。