ありんくりん Vol.5 6月号

糖尿病内科医師より皆様へメッセージ

あなたの糖尿病

院長:山本 壽一

糖尿病はバーチャル

糖尿病と診断されたあなたとご家族にお伝えしたいことがあります。糖尿病ってどんな病気でしょうか。「血糖が高くなる」「ごちそうが食べられない」「足が切られる」、などいろいろと見聞きされたことを挙げられると思います。実際に糖尿病と診断されたときの病状はいかがでしたか。多くの方は特に症状がなかったと思います。糖尿病は高血糖の状態が慢性に持続して臓器障害を起こしてくる病気です。高血糖だけですと症状としては、喉の渇きや排尿回数が増える程度で痛みや浮腫みなどのつらい症状はありません。症状はなくても高血糖を放置していると、神経障害、網膜症、腎障害などの合併症が数年後に発症してきます。医師で解剖学者の養老孟子先生は糖尿病のことをバーチャルな病気と呼ばれました。つまり、将来こわい合併症が出てくると想像していないと治療意欲がわかなため、合併症がない患者さんにとってはバーチャル(仮想空間上)の病気なのです。

担当医から血糖200ですよ、と言われても痛くもないので他人ごとのように思ってしまいますが、実際にあなたの血糖、あなたの糖尿病、なのです。

治療の主役は

糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法となります。どんな上等のお薬を処方されたとしても、食事療法や運動療法をおろそかにしていると糖尿病はよくなりません。食事療法も、運動療法も、ご自身ですることなので、病院から教わったとしても自分に合った方法で実行するのはあなたになります。薬も病院から出されますが、実際に服用するのはご自身なので薬の作用機序や服用方法については理解しておく必要があります。このように糖尿病の治療の 主役はご自身になります。

診察をしていますと、「友人がお菓子を沢山持ってきたので悪化した」、「模合が4回あって血糖が悪くなった」などの話を耳にします。普段の生活では治療の障害となるイベントが沢山あります。ある程度は仕方ないかもしれませんが、乱れた血糖の害は友人や模合仲間ではなくご自身に降りかかります。

糖尿病の怖いところは合併症が出るまでは症状がないことです。ある患者さまから「血糖が高くなると痛くなる薬をください」と言われたことがあります。おっしゃる通りで、糖尿病は自分の病状を把握するのがとても難しいと言うことです。

通院すること

糖尿病治療で最も大切なことは、ここまでの話でおわかり頂けたと思います。自分では自覚できない糖尿病の病状を把握することです。血糖値の合併症の程度も知っておくことです。そのためには通院して検査を受けることにつきます。私たち医療者も、たとえ聴診器を胸に当てたとしてもあなたの糖尿病の状態はわかりません。病院での血液検査と尿検査、レントゲン、心電図、エコー検査などを実施しないと正しく把握できません。つまり、糖尿病と診断されたら定期的に通院して頂く以外に病状の把握は難しいのです。最近は自分で血糖値を測る機械があります。注射療法をしている患者さまには保険適応となっています。日々の血糖を測定することでご自身の病状がよくわかります。診察でも自己血糖測定のデータを見せて頂くことでより細かく治療ができます。

診察は、皆さんの糖尿病をうまく管理して合併症を予防し健康的な生活を維持できるように、一緒に考える場です。

糖尿病とうまくやっていく

どうもうまくいかない、という時もあります。完璧な人間って多分いないと思います。失敗することもあります。どんな時もあります。そんな糖尿病ですがあなたの糖尿病なのです。クリニックでは医師もスタッフもみんなで、あなたのことを 真剣に考えます。あなたがあなたの糖尿病とうまくやっていけるように。お待ちしています!!

ご挨拶♪

ハートライフクリニック 糖尿病内科 小原 正也

2020年4月より大阪から参りました糖尿病内科の小原と申します。妻が沖縄出身である事が縁で、沖縄への移住を一念発起(ないちゃーむーく)し、ハートライフクリニック糖尿病の外来を担当しております。未だ短いですが、沖縄で糖尿病の治療を始めて感じた事をまとめました。

①販売されているお弁当のボリュームが多い

    ⇒美味しいので不思議とペロリ

 
②アルコールが好き(飲む機会が多い)な人が多い
 ⇒楽しいので酒が進むq

 
③人の集まり(モアイなど)が多い
 ⇒人によっては二桁という猛者も

 
④非常に勤勉である。
 ⇒妻から聞いていた話と違いました。(笑)a

 
⑤患者さんの年齢が非常に若い
 ⇒まさに沖縄クライシスと実感しました。2

 
⑥マイペースだが意外とせっかち
 ⇒誰も聞いてないですが、実は私もです。

 
⑦患者さんが高齢の場合、家族が一緒に来院される方が多い。
 ⇒本当にステキです。

 
⑧ホームベースから一塁までタクシー使うほど歩かない?(運動習慣が少ない)
 ⇒賛同される方多いです。

 
⑨大阪の「うまい。安い。早い」は沖縄でも好まれる。
 ⇒血糖の正常化。薬代はなるべく安く。(なるべく)待たせないがモットーです。

 
⑩治療の自己中断される方が多い。
 ⇒数ヶ月経って戻ってこられる方が多いのは当院の魅力だと思います。
⑪、コロナがあるから、より健康を意識される方が多い中、状況が早く落ち

着いてほしいと祈る一方で、落ち着いたら、皆さんの健康を維持できるだろうかと少し不安な気持ちもあります。 

糖尿病内科とは 

糖尿病専門医は『オーケストラの指揮者であれ。』と私は教わりました。

外科医のような手技などは一切ない当科の武器は何か? それは指揮者(糖尿病専門医)として、適切なタイミングで、適切な音楽家(各専門医)に、タクトを振って、美しい音楽(患者さんの人生)を奏でるべく、譜面(信頼関係の構築)を読み取って、適切な評価(合併症の検査)を行い、常に知識をアップデートすることが使命と考えております。下記に初診で、糖尿病とご自身が言われた皆さんに説明していることをまとめました。 いつも汚い字で早口で説明するので、これで解消できるはず!?

糖尿病とは?

糖尿病とは、インスリンが減ることが原因で、血糖が上がる病気です。糖尿病は一度発症すると、現在の医療では治癒させることはできませんが、症状がほぼ治まった寛解状態を維持させることは可能です。残念ながら、失われた膵β細胞の機能は戻りません。では糖尿病はどうして発症するのでしょうか?主な原因は、下記の1型、2型、その他の糖尿病、そして妊娠糖尿病です。厄介なことに大半は何も症状がなく、サイレントキラーと言われる理由です。

Ⅰ,1型糖尿病 (膵β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏による )

Ⅱ,2型糖尿病 (インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が

      主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものがある )

Ⅲ,その他の糖尿病、疾患によるもの w

A、  遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの

(1)膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常

(2)インスリン作用の伝達機構に関わる遺伝子異常

B、他の疾患、条件に伴うもの

(1)膵外分泌疾患 (2)内分泌疾患 (3)肝疾患 (4)薬剤や化学物質によるもの

(5)感染症           (6)免疫機序による稀な疾患

(7)その他の遺伝子症候群で糖尿病を伴うことの多いもの

Ⅳ,妊娠糖尿病  ※妊娠期間中のみの糖尿病

糖尿病の原因は大きく4種類に分類することが出来ます。

血糖とは?

血糖とは、血液中に含まれる糖分のことで、生きるために欠かせないエネルギーのことです。では高血糖は、生きるために必要なエネルギーがたくさんあるので「イイコト」なのでしょうか?答えは「サイアク」です。

高血糖状態は血管がある場所、つまり全身に悪影響を及ぼします。糖尿病とは血管の病気とも言えます。では、糖尿病の診断は、血糖の平均を示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)6.5%以上、空腹時血糖126mg/dl以上、食後血糖200mg/dl以上となります。 自己血糖測定をされている方は上記を参考にされてください。

インスリンとは?

インスリンは、背中の中央に位置する膵臓という臓器からのみ分泌される唯一のホルモンです。このインスリンというキーホルモンによって、身体の各細胞にエネルギーが取り込まれます。つまり、ヒトはインスリンがないと生きていけません。

高血糖を放置するとどうなる?

糖尿病の合併症が進んで、死亡リスクの上昇や生活の質の低下となります。自覚症状がないので気付いた頃には治療困難です。早期発見、早期治療で合併症を抑制出来ます。下図のように、HbA1cを1%下げると糖尿病の合併症を減らすことがわかってます。また血糖異常を指摘されてから早期にしっかり治療した人ほど、糖尿病合併症がその後も長期にわたり抑制されていたことがわかりました。糖尿病の治療を中断すると、合併症は再び進行し始めるので、診察の間隔や治療内容については主治医と相談しましょう。

糖尿病の合併症って?

すでに境界型糖尿病の時点で動脈硬化(大血管障害)は出現します。糖尿病となり高血糖状態では、細い血管から順に傷害されていきます。細小血管 :(し)神経障害、(め)網膜症、(じ)腎症大血管:(え)足壊死、(の)脳梗塞、(き)心筋梗塞。他にも癌、感染症、認知症、鬱、筋/骨の質低下、歯周病、皮膚炎、便秘、下痢、EDなどの発症リスクが高まります。薬で緩和出来るものはありますが、内服する薬が増えてしまい経済的負担も増える結果となります。

糖尿病の合併症を抑制するには?

糖尿病と診断されれば、まず目標はHbA1cを7.0%未満とします。なぜなら、細小血管障害の進行が抑えられるからです。但し、神経障害や眼底出血に注意が必要です。HbA1cが7.0未満の人はそれを維持するように心がけましょう。注意点としては低血糖があってもHbA1cは下がることです。低血糖も合併症を進行させるので、定期的にリブレなどの持続血糖モニタリングで評価することをお勧めします。HbA1cはあくまで参考値ということを心に留めておいてください。

下記の治療目標は、糖尿病を持っていても、持っていない人と 変わらない人生を目標とします。無病息災ではなく一病息災としましょう。

動脈硬化の治療は?

先述したとおり糖尿病は血管が硬くなる動脈硬化になる病気です。動脈硬化の治療で最も重要なのは下記のABCがわかりやすいでしょう。ABC;A (HbA1c:血糖)、B (BP:血圧)、C (cholesterol:脂質、cigarette:タバコ)上記に体重(肥満症)を加えた死の四重奏を改善させることが最重要です。最新の日本人の研究データーを紹介します。下記のように糖尿病に対して、従来治療と強化治療群を分けて合併症の評価を行いました。

その結果、強化群では脳卒中、腎障害、眼イベントリスクを大きく減らすことがわかりました。

糖尿病の治療って?

高血糖は合併症の原因となり、低血糖は認知症、眼底出血、生命維持リスクとなり、HbA1cが良くても血糖変動が大きければ、合併症は進行します。まず治療の基本は食事、運動療法です。次に注射あるいは内服薬を組み合わせたオーダーメイド治療となります。疾患に併せた最善の治療を主治医と相談しましょう。

糖尿病はどんな検査をすべきか?

(し)心電図-CVRR 、神経伝導速度:神経評価
(め)眼科:眼底の確認
(じ)微量アルブミン尿:透析導入リスクの評価
(え)脈波ポリグラフ、サーモグラフィー、TBI、SPP:下腿の 血管、足壊死リスク評価
(の)頸動脈エコー:動脈硬化、脳卒中リスクの評価
(き)INBODY:筋肉、脂肪、水分量の評価
(は)歯科:歯周病、齲歯の確認
(ど)動脈硬化:脈波ポリグラフ、頸動脈エコー
(こ)骨強度低下:骨密度評価
(が)胸部~腹部CT:悪性疾患検査
   便ヘモグロビン:悪性疾患検査
   上部/下部内視鏡:悪性疾患検査
(し)心電図、心エコー、マスター心電図:心機能評価
胸レントゲン:心と肺の評価
(め)腹部エコー:メタボ評価、悪性疾患検査
(に)認知症:認知機能評価
(だ)栄養指導
(す)スポーツ(運動)指導
  血糖測定:リブレプロにて持続血糖変動を評価する。

「しめじ・えのきは、どこが〆にだす」

ハートライフクリニックおすすめ

「ちゃ~がんじゅう測定(体組成測定)」

 当院では、糖尿病治療の結果を血液データだけでなく、体組成測定(骨格筋量・体脂肪量・むくみなど)をおこない食事療法・運動療法の効果を検討します。また日本糖尿病学会からも推奨されているサルコペニア(筋肉が衰える病気)フレイル(心や体の機能が低下した状態)の早期の対策にも役立てております。

ハッピーハート会のご案内

この会は会員同士がお互いの悩みや体験談を交わしたり、正しい知識や最新の情報を得る場として発足されました。

  ・年会費:2000円

    ・活動内容:勉強会 ウォーキグ 調理実習、 その他エクササイズ等

    ・1年間購読料6,000円の糖尿病月刊誌『さかえ』が無料で購読できます。 

    質問などあればいつでもお気軽に職員へお声かけ下さい。

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