鼠径ヘルニア(脱腸)について

鼠径ヘルニアとは

鼠径(そけい)ヘルニアとは鼠径部(足の付け根)から内臓、多くの場合は小腸(女児では卵巣や卵管)が飛び出し膨れた状態になる病気です。子どもに多く見られますが、40歳以上の男性の鼠径ヘルニアも少なくありません。男性だけでなく女性にも起こる病気です。また、鼠径ヘルニアには次の様な種類があります。No.73 2013年 春号

 

小児ではおよそ20~50人に1人が発症

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15歳以下の小児では、大きなヘルニアから気がつかないような小さな鼠径(そけい)ヘルニアまで、その発症頻度は男児では6.62%、女児では1.74%といわれています。したがって乳幼児ではさらに高頻度に発症することが知られています。また片方のヘルニアの手術をした後に反対側のヘルニアが出てくることも少なくありません。乳幼児検診は必ず受けてよく診てもらうように心がけましょう。

自然治癒しない鼠径ヘルニア

未熟児でヘルニアが小さい場合は自然に治癒するケースがまれにみられますが、1歳未満のヘルニアでは嵌頓の起こる頻度が12~17%と高く、自然に治癒することを期待するのは適切な判断ではありません。診断され次第、早期に手術を行うことが原則です。乳幼児や年長児、そして成人のヘルニアでは自然治癒は期待できず、治療方法は手術以外にありません。

負担の少ない手術LPEC法(嵩原法)

LPEC法は、おへそから4mmの腹腔鏡をお腹にいれ、注意深く観察しながらLPEC針という特殊な針でヘルニアの入り口だけを閉鎖する方法です。したがって鼠径管の中は剥離しないので、血管や精管を傷つける心配がありません。また手術創は、おへその中の5mmの創と2mmの鉗子と1mmのLPEC針の刺した創だけで、痕がほとんど残らず術後の痛みも少なくて済みます。手術したお子さんのほとんどは元気に歩いて翌日の午前中に退院します。また、LPEC法では片方のヘルニアを手術する際に反対側のヘルニアの有無を腹腔鏡で確認することができますので1度の手術で両方の治療をすることも可能です。LPEC法の説明

早期の社会生活復帰も可能

ハートライフ病院のヘルニア外来では、小児はもちろん若い成人の方にもLPEC法による治療を行っています。また50歳以上の方にも、腹腔鏡下に人工素材を使用する低侵襲性の手術(TAPP)を積極的に行っています。LPEC法(嵩原法)やTAPP法は、お腹に傷を残さない手術法なので、術後の痛みは少なく回復もすこぶる順調です。原則として手術の翌日に退院していただくように1泊2日、あるいは2泊3日の入院としています。多少の個人差はありますが、早期の社会生活復帰は十分に可能です。


広報誌「あすなろ(No.73/春号)」に特集記事を掲載しております。
鼠径ヘルニア(脱腸)~子供だけじゃない。成人も要注意~

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