肝癌の生存率 2018年

対象期間 2011年1月1日~2017年12月31日
観察終了日 2018年8月31日
予後調査 来院情報
他施設照会
衛生環境研究所からの予後情報
生存率算出方法 カプランマイヤー法(実測生存率)

 

全症例数 169名
男:117名 女:52名
男女比 2.25:1
平均年齢 68.3歳
Stage判明率 100%
消息不明数 7
消息判明率 95.8%

 

病期別 症例数 死亡数 3年生存率 5年生存率
36 13 81.7% 44.5%
64 30 66.1% 44.7%
34 23 36.6% 27.1%
32 29 4.9% -
全症例 Ⅰ~Ⅳ 166 95 51.4% 33.3%

【解説】

肝癌病期Ⅰ期死亡者13名は死因原疾患は3名、他疾患6名、死因不明4名。

Ⅱ期死亡者30名は、原疾患8名、他疾患7名、死因不明15名。

Ⅲ期死亡者23名は、原疾患9名、他疾患2名、死因不明12名。

Ⅳ期死亡者29名は原疾患24名、他疾患1名、死因不明4名となっております。

全症例169名に対し、半数以上の95名が死亡されており、他の癌と比べ治療が難しく予後の悪い癌だということが解ります。

※死因不明の方は、院外での死亡の為、死因が判明出来ませんでした。

 

①肝癌の男女別年齢階級グラフ

【解説】

2017年の我が国における悪性腫瘍死亡率の中で,肝および肝内胆管がんの占める割合は男性で4位、女性6位男女計5位であり,今日においても肝癌は主要な悪性疾患の一つです。

一般的に男性の罹患率が女性に比較して高く、当院では平均年齢68.3歳。60歳代前半の男性が最も多く、次いで60歳代後半となっております。女性では70歳代後半が最も多く、次いで60歳代前半となっております。


②肝癌の男女割合

【解説】

肝癌の男女比は2.25:1となっており、全国的には男性が女性の3倍あるといわれています。

 

③肝癌の組織型別件数

【解説】

原発性肝癌には、肝臓を構成する細胞の大部分を占める肝細胞が癌化した肝細胞癌と、肝臓内の胆汁の通路である胆管の細胞から発生する肝内胆管癌があります。

我が国の原発性肝癌のうち、肝細胞癌が94%と大部分で占めていますが、当院では肝細胞癌が82%で肝内胆管癌の占める割合が高くなっています。

 

④肝臓癌 ステージ別件数

【解説】

癌の進行の程度は「病期(ステージ)」として分類します。病期はローマ数字を使って表記することが一般的です。

肝癌は、癌の局所進展度(癌の大きさなど)、リンパ節転移、遠隔転移(肝臓以外の臓器へ転移)の有無から、4段階の進行度(ステージ)に分けます。ステージⅠ~Ⅲは、リンパ節転移や遠隔転移がなく、局所進展度のみで分類されます。

ステージⅣは局所進展度が高度なもののほか、リンパ節転移や遠隔転移が存在するものも含まれます。

適応外とは、肝内胆管癌の中で胆管内を浸潤しながら進行する「胆管浸潤型」、胆管の内側の空間だけに充満していくような進行形態をとる「胆管内発育型」の癌です。

当院ではステージⅡ期が169件中64件と1番多く全体の38%を占めております。

⑤肝癌(病期別) カプランマイヤー(生存曲線)

【解説】

肝癌の病期別生存率を見てみますと、Ⅰ期で3年生存率81.7%、5年生存率44.5%。

Ⅱ期で3年生存率66.1%、5年生存率44.7%。Ⅲ期で3年生存率36.6%、5年生存率27.1%。

Ⅳ期で3年生存率4.9%、5年生存率では診断より60ヶ月(5年)経過されている方がいないため、途中で切れた曲線となっております。全症例で3年生存率51.4%、5年生存率33.3%となっており、全国と比べほぼ同様の結果となりました。なお、当院の前回(2013年)検討した肝癌の生存率は全症例で、3年生存率42.3%、5年生存率26.2%であり、生存率は上昇しております。

 

【肝癌について】

肝癌とは?

肝癌には、肝臓から発生した原発性肝癌と、他の臓器の癌から転移した続発性肝癌(転移性肝がん)があります。当院での肝癌の生存率として上げたデータは、原発性肝癌のみとなっております。

日本の統計では、肺、胃、大腸に続く4番目に多い癌で、年間約35,000人が肝癌で亡くなっております。肝癌の約90%は肝細胞癌で、大部分がB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが持続感染によって発生すると考えられています。その他の肝細胞癌を合併しやすい病気としては、アルコール性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎や胆汁性肝硬変などがあります。

肝癌の症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。したがって各自治体や職場などの検診で肝炎ウイルス陽性あるいは肝機能異常を指摘された人は、専門医療機関での定期的な検査が必要です。

肝癌特有の症状は少ないのですが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張った感じを訴えます。また、がんが破裂すると腹部の激痛や血圧低下を起こします。肝癌の基礎疾患である肝硬変の症状としては、食欲不振、だるさ、微熱、おなかが張った感じ、黄疸、尿の濃染、貧血、こむら返り、浮腫、皮下出血等があり、胃または食道静脈瘤のこぶが破裂して大量の吐血や下血がおこることもあります。

肝癌の検査

肝細胞癌の検査として、一般的にはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの有無、肝障害の状態、腫瘍マーカー(がんがあると血液の中で数値が上昇し、それぞれのがんの有無の指標となります)を調べます。また、腹部超音波検査(腹部エコー)、腹部CT、腹部MRI等の画像検査も重要です。

肝癌の治療

外科的治療として、手術で肝細胞癌のある部位を部分切除します。内科的治療として、経カテーテル肝動脈化学塞栓療法(TACE)、ラジオ波焼灼療法(RFA)、リザーバー留置による抗癌剤動注化学療法などがあります。当院でも、これらの治療を行っております。

肝癌の予防法

まず、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染しないことです。このウイルスが発見されていない頃は輸血などで感染することはありましたが、現在はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染する可能性はほとんどありません。強いていえば血液を介して感染をすることがありますのでB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染している人の歯ブラシやひげ剃りを共有するのはやめましょう。最近、肥満や糖尿病の患者さんで肝機能異常を示す方(NASH)が増えています。このような方から肝癌が発生することもあり注意が必要です。