不整脈とカテーテルアブレーション

不整脈とカテーテルアブレーション

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2部屋のアンギオ室が利用可能に

asunaro_No918-22017年9月から当院に東館が新設されました。東館の中には内科や外科などの外来棟や、産婦人科を中心とした入院病棟に加えて、ICUなども移設されました。その中に新たにアンギオ室(血管造影室)を設け、西館と併せて2部屋のアンギオ室が利用可能となりました。アンギオ室では循環器内科による冠動脈ステント植え込み術等の血管内治療に加えて、脳神経外科や放射線科による血管内治療などが行われています。
従来は緊急の心筋梗塞患者が来た際には、予定されていた待機的な診断・治療カテーテルの患者を長時間待たせることも多かったのですが、2つのアンギオ室が設けられたことで、予定患者と緊急患者を同時刻に行えるようになり、多くの要望に応えることが可能となりました。
新しいアンギオ室では、新たにバイプレーンのアンギオ装置※1を導入しており、検査時間の短縮や、造影剤量や放射線の被ばく量を低減させ患者さんの負担が大幅に減ることが期待されています。
今回は、バイプレーンのアンギオ装置の設置に先駆けて、当院で今年から新たに取り組み始めているカテーテルアブレーション治療について紹介していきたいと思います。

そもそも不整脈とは?

asunaro_No919-3カテーテルアブレーションとは、不整脈に対する治療法の一種ですが、ではそもそも、よく耳にする不整脈とはいったいどういった病気を指すのでしょうか?
不整脈とは、それ自体が病名ではなく、多くの疾患の総称を表しており、一般的には血液を送り出す心臓のリズムや回数が一定ではない(不整)状態をいいます。心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きを担っていることはよく知られていますが、正常に働くためには心臓を形作っている心筋という筋肉に電気が流れないといけません。電気が流れることで、心筋が収縮しポンプとして動いているのです。この時に、正常な電気の通り道(刺激伝導系)から逸脱した電気の流れや、正常よりも大幅に速くなったり遅くなったりすることで心臓の働くリズムや回数が乱れることを不整脈と呼んでいるのです。
速くなる不整脈を頻脈性不整脈と呼び、遅くなる不整脈を徐脈性不整脈と呼んでいます。徐脈性不整脈に対しての治療の多くはペースメーカー植え込み術となります。カテーテルアブレーションの治療対象となる不整脈はほとんどが頻脈となります。

不整脈の原因

不整脈の原因は高齢化や体質的なものが最も多く、必ずしも器質的な心疾患※2との関連があるわけではありません。多くの不整脈は年齢とともに増え、また、ストレスや疲労、睡眠不足などによっても引き起こされ、特に内科的な基礎疾患のない健康な人にも起こりえる疾患です。臨床的には、飲酒後や二日酔いで動悸を訴えて受診される方をよく拝見します。
しかしながら、心臓病の基礎疾患を抱えている人はその影響で電気の流れが乱れやすくなり、不整脈が起こりやすくなることも理解しなければなりません。つまり、定期検診で不整脈を指摘された場合や、動悸発作が頻発して生活が著しく制限されている方は、一度積極的に詳しい検査を受けることをお勧めします。
不整脈の症状としては、期外収縮では脈が飛ぶような感覚や、違和感、または胸痛として受診される方がいます。頻拍では、一般的な動悸(ドキドキする)や、重い症状では胸苦しさ、めまいを感じたり、失神する方もいます。非典型的な症状も多いため、胸に違和感やふらつきなどを頻繁に感じたら、不整脈の可能性を疑ってもいいかもしれません。

心臓電気生理学的検査

不整脈の中でも当院では発作性上室頻拍、心房粗動、心房細動の3種類の頻脈性不整脈を中心にアブレーションを行っていく予定です。通常の心電図でも、これらの診断は行えますが、発作性上室頻拍などはさらに細かく分類されるので、アブレーションによる治療を行う前に不整脈の検査が必要となります。その検査を心臓電気生理学的検査(EPS)といいます。電極カテーテルという数ミリ径の細い管を足の付け根や首にある静脈から、心腔内に数本挿入します。カテーテル先端部には電極と呼ばれる小さな金属チップが付いており、それによって心内特有の電気活動(心内電位)を詳細に得たり、また、そこから電気刺激を行い不整脈を誘発したりするのです。この検査から得られた情報を基に不整脈を確定診断しアブレーションを行なっていくため、非常に重要な検査です。

根治が見込めるカテーテルアブレーション

asunaro_No9110-2カテーテルアブレーションとは、EPSで用いた電極カテーテルの他に、治療用のカテーテルを心腔内に挿入し、その先端から高周波を流し、頻脈の原因となっている不整脈の回路にあたる心筋を焼灼して、その回路を遮断する手技をいいます。
前述の発作性上室頻拍や心房粗動であれば根治率も高く、一回の治療のみで発作による症状や薬物治療から解放され安心して暮らせるようになります。
心房細動は、脳梗塞との関与が大きい不整脈で、心不全などに合併すると予後を悪化させるなどの問題があり、それを根治できることは非常に大きな意義を持ちます。現在、高齢社会となっている世の中で、とても増加している疾患であり、2050年には100万人を超える患者数が予想されており、当院でも積極的に治療を行うことを考えています。
そういった中で、治療をより安全かつ正確に行うための工夫として、バイプレーンのアンギオ装置を用いて多角的に視野を確保しています。さらに、不整脈診療において日本でも有数の施設である、東京都の心臓血管研究所付属病院と密な連携を行い、アブレーション手術時には必ず指導医として大塚 崇之先生をお招きし、ご協力いただいています。asunaro_No9110-3

おわりに

症状のある不整脈は辛いので受診を考えることも多いですが、慣れてくると症状が出にくくなることも多く、特に初発の心房細動のおよそ40%は無症状と言われており、脳梗塞で発見されることも多く認めます。いつもと異なる自覚症状を感じたら、まずは、かかりつけ医へ相談してはいかがでしょうか?

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