社会医療法人かりゆし会
理事長

安 里 哲 好

 沖縄県の保健医療領域における課題と思われる2点について述べたいと思います。
 一つ目は、県医師会プロジェクトで「65歳未満健康・死亡率改善プロジェクト~働き盛り世代の健康づくり~」です。1995年世界長寿宣言をしましたが、2010年は330ショック(平均寿命女性3位、男性30 位への転落)、2015年は男性36位、女性7位と益々悪化の一途をたどっています。その原因を調べてみると、30~64歳の健康状態に大きな問題があり、2017年の粗死亡率は男性5位、女性4位でした。死亡総数は1909人で、その内訳は男性1,294人、女性615人です。その原因を調べますと、高血圧関連疾患が1位で284人、次いで自殺が2位で179人、大腸がんが3位で131人、女性特有のがんが4位で105人、 不慮の事故が5位で91人、アルコール性肝疾患が6位で90人、肺がんが6位で90人でした。高血圧性関連疾患の中でも脳内出血による死亡が83人です。モデル地域(10万人前後)を選定し、市行政、協会けんぽ、地域住民、医療機関等と連携し、「適切な血圧を管理する地域づくり」、「高血圧関連疾患の死亡を防ぐ」、「脳出血死亡ゼロ」を旗印に揚げ進む予定です。

 二つ目は、地域医療構想と医師の働き方改革そして医師の地域偏在・診療科偏在および新専門医制度です。地域医療構想は病床機能分化・連携そして病床の収れん化です。その後に病院機能分化・連携、更に疾患別機能分化・連携と集約化でしょうか。医師の働き方改革は医師の健康保持と地域医療・救急医療の継続との兼ね合いが求められます。当直の中身の評価と年間の時間外勤務の上限(地域基幹病院や研修医に加え熟練度が求められる時期はそれなりの時間外勤務:1860時間以内/年間)が暫定的に認められました。医師の地域偏在・診療科偏在に関する新しい指標では、沖縄県は全国に対し医師が多い地域です。宮古・八重山医療圏は中程度、産婦人科医師数も中程度、小児科医師数は少数地域です。新専門医制度では19領域中14領域(外科、産婦人科、臨床検査、病理、総合診療を除く)においてシーリング(上限枠)が検討されています。県の小児科医は過去2年間専攻医平均11名でシーリングがかかり、9名を指標にしているようです。厚生労働省発表や診療現場の実情と剥離した方針が専門医機構から出され、大きな問題となっています。