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早期食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療成績について

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はじめに

進行食道癌の治療成績は手術手技の向上、化学放射線療法の進歩により改善してきましたが、まだ満足すべきものではありません。しかし、早期癌の治療成績は大変良好です。特に、癌が非常に浅い部位にとどまる 粘膜癌で発見できるとリンパ節転移がほとんど無いので内視鏡的に癌部を切除するだけで癌が治る事がわかってきました。当院でも平成6年より58例の早期食道癌に内視鏡的切除術を行って良好な成績を得ています。今回、平成14年から行っている大きな病変でも一括して切除する 切開剥離術(ESD)を行った18例の治療成績を検討しました。



方法

平成6年から先端キャップ法やEEMRチューブ法などの吸引法を行ってきました(図1ー図3)が、大きな病変では分割切除となりました(図4)。都立駒込病院の門馬らは分割切除数が増える程、局所再発が増加したと報告しています。そこで、平成14年から佐久総合病院小山らの開発したHookナイフ(図5)を用いて切開、剥離法による内視鏡的一括切除術(ESD)を18例に行ってきました。比較的良好な結果を得ているのでその治療成績について述べます。 

図1 [EEMR-tube法]

図2 [Strip biopsy法]

図3 [EMRC法]

図4 [EMR(分割切除)]

図5 [Hook ナイフ]

小山らの作製した針状メスの先端1mmを直角に曲げたもので、絶縁体で作られたシースで覆われている 。

手元のハンドル部分を回転するとHookの向きを調整する事ができる。

ESDの方法は次の順序で行いました

  1. 電気メスで周囲をマーキング
  2. 粘膜下に液を局所注入
  3. プレカット
  4. 全周切開(粘膜切開)
  5. 粘膜下層剥離
  6. 病変の回収
  7. 止血処置



図6 [一括切除症例:60歳代、男性]

術後処置

  1. 術後に胸部X線撮影を行い、穿孔や縦隔気腫の有無を確認します。
  2. 翌日に食道造影を行い穿孔がなければ 飲水を開始します。術後2日目より流動食を 開始し、一日おきに食事をupし、異常なけ れば7日目に退院とします。
  3. 術後3日間は抗生剤の投与を行い、ESD後潰瘍が 治癒するまで粘膜保護剤の投与を行います。

対象

当院でEMRを行った食道癌58例中、一括切除術(ESD)を施行した18例を対象としました。年齢は48-85歳、平均72歳。腫瘍長径は2-10cm。術前予測癌深達度は全例粘膜癌でありました。

治療成績

一括切除ができたのは 14例
分割切除となったのは 3例
中止 1例

ESD後4ヶ月ー4年3ヶ月の経過観察で全例癌の再発はなく健在です。 

病理で側方断端(+) 1 例
垂直断端(+) 1 例
ly1 1 例
m3 2 例
sm1 1 例

腫瘍長径の長い病変3例でESDが完遂できず先端キャップ法へ変更し分割切除となりました。

14例で病変を一括切除できました。1例は呼吸状態が悪くなり、中止しました。その後APCで焼灼しました。全例扁平上皮癌で粘膜癌が16例、粘膜下層癌が1例でした。ESD後4ヶ月ー4年3ヶ月の経過観察で全例癌の再発はなく健在です。しかし、分割切除となった2例では異型上皮が生じ、APCで焼灼しました。粘膜癌でly1とリンパ管侵襲のあった 1例と粘膜下層癌の1例で抗がん剤を追加しました。また全例術前と同様の食事量を摂取しています。側方断端(+)、深部断端(+)例はAPCで焼灼しました。

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