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消化管病変における3D-CTの有用性の検討

目的

 我々は、腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆道系の走行異常の術前把握に病変の立体構築が可能なヘリカルCTを利用している。この特徴を生かし、ヘリカルCTは消化管病変においても、苦痛を与えることなく簡便に行える検査として有用でないかと考え、検討した。


対象

 食道癌1例、胃病変11例(癌5例、潰瘍3例、ポリープ3例)、大腸病変10例(癌4例、憩室1例、単純性潰瘍2例、虫垂炎1例、ポリープ2例)を対象とした。


方法(1)

 装置はXforce/SH(東芝)を使用した。撮影時間は約30秒で、原則として呼吸停止状態で行った。寝台移動速度は5mm/sec、スライス厚は5~10mmとした。撮影条件は120kV、200mAで行った。撮影後病変部周囲のみに再構成画像領域を設定し、再構成画像間隔1mmでリコンストラクションした。再構成された画像は60~70枚で、256×256のボクセルデータを作成した。


方法(2)

  1. 上部消化管で、発泡剤の経口投与を行い撮影する。
  2. 下部消化管で、造影剤を用いずに空気を経肛門的に注入し腸管を拡張させた状態で撮影する
  3. 上部、下部とも内視鏡検査施行後に脱気せず、空気が入ったままの状態で撮影する



結果

 図1~13までを掲載

図1 食道がん
3D-CT 食道癌の大動脈浸潤

図2 胃がん
3D-CT 胃癌

図3 胃がん
3D-CT 胃癌

図4 胃潰瘍
3D-CT 胃潰瘍

図5 胃潰瘍
3D-CT 胃潰瘍

図6 胃ポリープ
3D-CT 胃ポリープ

図7 大腸がん
3D-CT 大腸癌

図8 大腸がん
3D-CT 大腸癌

図9 大腸がん
3D-CT 大腸癌

図10 大腸がん
3D-CT 大腸癌

図11 大腸ポリープ

図12 大腸ポリープ
3D-CT 大腸ポリープ

図13 大腸憩室
3D-CT 大腸憩室

まとめ

  1. いずれの症例も撮影は数分で終了し、被験者に苦痛を訴えなかった。
  2. 食道癌の大動脈浸潤が描出可能であった
  3. 前壁の胃癌病変で、造影検査以上に有用な所見が把握できた。
  4. 大腸癌のうち3例は腸閉塞の症例であり、注腸造影で、結腸の途絶が見られ、口側の情報が得られなかった。ヘリカルCTを施行したところ、2例で口側の状態が把握でき、腫瘍の大きさ、部位、形態など手術に際して有用な所見が得られた。
  5. 大腸ポリープの1例は、脳梗塞後遺症による四肢麻痺を有する症例で体動に難があり、注腸造影では病変の十分な描出ができなかったが、ヘリカルCTでは可能であった。
  6. 胃潰瘍、胃ポリープも描出が良好であった。
  7. 大腸憩室症でも描出が良好であった。



結論

  1. ヘリカルCTは、従来の造影検査や内視鏡検査に比べて、短時間で終了し、被験者の苦痛が少なく、医師の技量に左右されることがない点で従来の検査より有用であった。
  2. 周囲組織への病変の波及が把握できた。
  3. 胃の前壁病変の把握に適していた。
  4. 腸閉塞をきたした大腸癌において、造影検査や内視鏡検査では診断困難な病変口側の状態の把握に適していると思われた。
  5. 四肢麻痺や重度痴呆のあるような、体位変換の困難な被験者に対しては、有用な検査であると思われた。